(A1)
酪農施設における中高齢者の作業負担に関する研究
−藤沢市のつなぎ飼い式牛舎を事例として−
奥村隆志・川西啓文(日大)・福重直輝(畜草研)・伊東一(日大)
つなぎ飼い式牛舎で働いている中高齢者の心拍数、呼吸量を測定した。その結果、糞を積んだ一輪車運搬、餌箱運搬のような動的筋作業、牛乳をバケットからバケツヘ、バケツからパルククーラーへ移す静的筋作業において心拍数が変化、呼吸量が増加していることから労働負担がかかっていると推測できた。
(A2)
古電柱をリユースした畜舎施設の耐力確認実験
小川秀雄(神奈川大)
コンクリート古電柱及びスチール古電柱を畜舎柱材に利用した場合の古電柱への影響、方杖の取り付け方等を検討するために模擬フレーム実験を行った。水平力を載荷した実験結果をもとに、方杖と電柱の止め方は電柱の貫通穴にボルト止めした方法が最も確実であること、電柱のステップ用ネジを利用する方法も簡易な施工方法であること、巻きバンドで方杖を電柱に止め方を方法は移動が生じて確実性が無いこと等について考察している。
(A3)
拡散天井面を有するウインドレス畜舎の舎内気流特性
星典宏・山口智治(筑波大)
拡散型天井およびスロット床を有するウインドレス畜舎を対象に、解析上困難なスロット床面・天井面の小孔の形状を境界条件として定義せず、実在しない仮想的なものとして扱う手法で数値シミュレーションを行った。これにより実際の施設形状に則した形で流れを三次元的に示すことを可能とした。また、流れの軌跡から換気ファンの出力、天井の小孔の配置など再考すべき点を明確にした。
(A4)
PIVを用いた無窓採卵鶏舎の換気構造の評価
池口厚男(農業機構)・In-Bok Lee・奥島里美(農工研)・長谷川三喜・本田善文・市来秀之(畜草研)
無窓鶏舎内の浮遊粉塵・細菌を抑制する換気構造を見いだすため、PIVを用いた模型実験を行った。ケージ前面の渦度、ダウンフローを評価指標とすると、天井スロットでケージの通路側前面に吹き出しがあり、通路面中央に排気口が位置する場合が最も適切な気流分布を与えた。
(A5)
簡易糞尿堆積法によるれき汁処理技術の開発
吉田邦彦・高橋圭二・木村義彰(根釧農試)
野積み糞尿からのれき汁流出による周辺環境汚染を防止するため、ブルーシートを土壌の下に埋設した簡易、低コストな堆肥盤を製作し、糞尿堆積試験を行った。排出されるれき汁は時間が経つにつれ色、臭いに変化が起こり、土壌中である程度分解が進行していることが示唆された。但し試験終了後、ブルーシート下の土壌で硝酸態窒素の著しい増加が見られたことから、埋設用シートには他の資材を用いる必要性が示された。
(A6)
側面を断熱した筒状の発酵槽を備えた堆肥化実験装置を開発した。装置の発酵槽は、実際の堆肥化での材料堆積高さと同等の高さで、上端が開放されている。底面からは外気が供給される。このため、材料の自重による下層部の圧縮、重力による水移動、通気空気の材料との熱や水分の交換や酸素消費、材料の温度分布や放熱条件が実際と同等になり、従来の実験装置に比べて、より実際の堆肥化に近い条件で、堆肥化実験を行うことができる。
(A7)
低温下における堆肥化発酵促進のための通気制御と加熱
向弘之(北海道農研)
寒冷地の冬期間のような低温条件下での堆肥化では、材料の初期温度が0℃以上であれば、通気量を標準量より減ずることで、材料温度を昇温させることができる。凍結材料は、通気量の調節だけで材料を昇温させることはできず、材料への加熱が必要になる。無加熱、加熱条件とも、通気の供給側になる下層部は昇温しにくいが、上層部が高温の時に通気方向を吐出から吸気に反転することで、全層の材料を十分な高温に曝すことができる。
(A8)
開放型吸引通気式堆肥発酵処理システムの開発
福重直輝・阿部佳之・伊藤信雄(畜草研)
吸引通気式堆肥発酵の大気中への環境負荷物質揮散低減の可能性について検討した。堆肥の水分、分解程度、窒素といった品質については堆肥化期間に切り返しを行うことで吸引通気式と圧送通気式の間に実用面での差異はなかった。吸引通気式は大気中への環境負荷物質の揮散を低減することができ、排気を硫酸などでトラップすることにより圧送通気式では大気中に放出していた環境負荷物質を捕集、資源化する可能性が示された。
(A9)
コンポストガスの生態系再利用システムに関する研究(3)
−アンモニア発生特性とその利用−
加藤仁・東城清秀・渡辺兼五(農工大)
本研究ではコンポスト化システムにおけるゼロエミッションの達成を目的としている。本報はコンポスト化プロセスでのアンモニアの発生特性とその利用に関して報告するものである。実験の結果、アンモニア発生特性は二酸化炭素の発生と関係しており、そのアンモニアを硝酸態窒素へ変換することにより、トマトの水耕栽培養液として有効利用できることが確認された。
(A10)
間欠曝気法による乳牛糞尿スラリの好気性処理
青山英明・松田從三・近江谷和彦(北大)・岡本英竜(酪農大)
間欠曝気法による乳牛糞尿スラリの分解特性を、8時間通風(通風量2m3/h・800Lスラリ)、12時間通風(2m3/h)、8時間通風(6m3/h)、連続通風(2m3/h)で比較した。連続1週間(曝気時間144時間)のスラリと12時間通風(2m3/h)9日間(108時間)のスラリはCOD、BOD、VS等の除去率が同程度であり、通風時間短縮の可能性が見られた。また両実験区のアンモニア挿散量は等しかった。
(A11)
スラリー処理の低コスト化に関する研究
−吊り下げ式散気装置による好気性処理の提案−
松本光司(オー・アントアール技研)・猫本健司(酪農大)
2種類の散気装置(エアレーターとディフューザー)を用い、ブロアポンプにて家畜糞尿スラリーの好気性処理を行った。散気装置を「吊り下げ式」としたことにより、目詰まり時のメンテナンスが容易となった。これにより、従来の方法(エジェクターポンプ)に比べて、より低コストなスラリー処理が実現した。
(A12)
UASB発酵法による畜舎排水処理
梅津一孝・大山卓英(帯畜大)
本研究は、UASB発酵法による畜舎排水処理の有効性についてグラニュール量、排水濃度とCOD除去率の関係についてOleszkiewiczとSanchezらのモデルを援用し検討を行った。COD負荷が増加するに従い、分解COD当たりのメタンガス生成量は増加した。COD除去率はCOD負荷と投入COD濃度に依存し、分解COD当たりのメタンガス生成量とCOD除去率はグラニュール量の依存性が高いことが明らかとなった。
(A13)
小型肥育牛舎の臭気について
東城浦秀(農工大)・安藤達勇(神鋼アクテック)・中川信次(農工大)・渡邊兼五(農工大)他
農村集落内に位置する畜舎では、小規模でも臭気への対応が求められるようになってきた。臭気の発生源としては牛舎や糞尿処理施設があるが、発生源ごとに対策を講ずることは非効率で経済的負担も大きいので、家畜糞尿の処理施設を畜舎と併設して施設の共有化を図るとともに、施設から発生する臭気を集めて脱臭する方式について検討した。
(A14)
緊プロ型ロックウール脱臭装置の開発(2)
−排水循環方式の検討−
道宗直昭・福森功・原田泰弘・古山隆司(生研機構)・佐藤直人(岩手畜産研)
寒冷地型ロックウール脱臭装置において、脱臭材料の乾燥防止のため水分補給として脱臭槽上部表面に1日に16〜20L/m2程度の散水を行っている。排水には多量の窒素が含まれ外部へ流出していたが、その排水を散水用として循環使用することで外部への流出はほとんどなくなり、脱臭性能も良好に維持することできた。
(A15)
牛床資材の種類と乳牛の利用状況
高橋圭二・吉田邦彦・木村義彰・堂腰顕・大越安吾(根釧農試)
牛床構造の違いが運動器疾患に及ぼす影響を明らかにするため、4種類の牛床資材について搾乳牛10頭とフリーストール牛床10床を用いて利用性を検討した。供試した牛床資材はオガクズのみ(8kg/床)の場合とゴムチップマットレス、厚手ゴムマット、およびウォータベッドである。牛床の利用性として乳牛行動解析と牛床横臥率について検討した。
(A16)
フリーストール牛舎での糞尿搬出法の検討
長谷川三喜・本田善文(畜草研)・池口厚男(農研機構)
牛舎内でのふんと尿の滞留時間を短くしこれらの混合が起こらないように舎外に搬出することは、舎内環境の改善と堆肥化施設等のふん尿処理施設の効率的利用に資すと考えられる。本年度は、多回搾乳と多回給飼を行い、搾乳ロボットを併設したフリーストール牛舎での搾乳牛の排糞行動について調査した。給与回数増加による時間あたり排糞量の平準化傾向は見られなかった。
(A17)
畑作と酪農の生産システムに関する総合的比較
−十勝管内S町における予備調査結果について−
田村悠子・干場信司・河上博美・描本健司・森田茂(酪農大)
畑酪混合型地帯の十勝管内S町の畑作農家5軒を対象にし、経済性、エネルギー、窒素負荷、人間の満足感の4指標で評価を行い、同町の酪農家と比較した。その結果、畑作農家と酪農家問における堆肥と麦稈の相互利用が両農家の窒素負荷に大きく影響していた。
(A18)
資源循環を基本とする乳牛の群詞養管理における物質循環の解明
張建国・加茂幹男・河本英憲・青木康浩(畜草研)
フリーストール実験牛舎と糞尿還元専用圃場を用い、酪農生産における窒素(N)循環の実態を調査した。年間平均34頭の搾乳牛群の摂取した5623kgNのうち53.4%が糞尿として排泄され、23.2%が生乳として生産された。排泄した糞尿Nの81.5%が11.6haの飼料畑に還元され、飼料Nとして1818kgが生産された。
(A19)
3次元豚体形状に基づいた肥育豚の全方位放射伝熱形態係数
蓑輪雅好(香川大)
天井面、側面壁および床面に対して豚がその場で1回転したときの形態係数を全方位形態係数と称し、体重が27、65、88kgである豚の立位におけるサーフェスモデルを用いて数理解析的に解明した。豚体中心から1.5m以上離れた側面壁と0.5m以上離れた天井面に対する全方位形態係数は豚体の大きさによる差異が小さく、球要素形態係数と大差なかった。
(A20)
畜舎施設における設計用積雪荷重について(1)
中村祐一郎(北海道工大)・小林敏道・千葉隆弘・干場信司・苫米地司
本研究は、畜舎施設における設計用積雪荷重の評価方法の確立と建設コストの緩和を目的に、屋根葺材の滑雪特性と設計用積雪荷重との関係について検討したものである。その結果、多雪地域において畜舎施設を建設する場合は、屋根葺材の滑雪特性と屋根勾配を指標とした設計用積雪荷重の評価方法も建設コストの緩和に有効であることが明らかとなった。
(A21)
畜舎施設における設計用積雪荷重について(2)
小林敏道(日江金属)・中村祐一郎(北海道工大)・干場信司(酪農大)
千葉隆弘(日江金属)・苫米地司(北海道工大)
畜舎施設に用いられる塗装鋼板の劣化に起因する滑雪性の低下を考慮した積雪荷重評価を検討するため、既存畜舎に劣化を想定した塗装鋼板を施工して滑雪状況を観測した。屋根葺材に塗装鋼板を用いる場合は、安定した滑雪性を確保するため、屋根葺材をメンテナンスする必要があることが明らかとなった。
(A22)
畜舎施設における屋根雪の滑落特性について
内藤恵(北海道工大)・小林敏道・干場信司・千葉隆弘・苫米地司
畜舎建築物の滑落雪現象と温度指標との関わりを明らかにするため、ビデオ観察と同時に畜舎各部温度を測定したものである。その結果、滑落雪現象は、外気温もしくは屋根葺材裏面温度が0℃C以上の場合で顕著に発生していることが観測できた。このことから、外気温または屋根葺材裏面温度を指標とすることで、屋根雪の滑落雪現象の発生に要する期間を予測することが可能である。
(A23)
積雪地域における鋼製堆肥舎の提案
千葉隆弘・小林敏道(日江金属)・干場信司(酪農大)・苫米地司(北海道工大)
本研究は、積雪地域に建設可能な低コスト堆肥舎を確立することを目的に行った。厚さ1.2m皿の折板を門型に加工し、この試験体を対象に鉛直・水平載荷実験を行った。その結果、折板を門型に加工した構造物は、間口6,000mm高さ4,000mmの場合で積雪荷重3.5kN/m2に耐え、北海道で規定されている積雪荷重に十分対応できることが明らかとなった。
(A24)
酪農飼育施設における蓄冷熱システムの利用
長谷川三喜・本田善文(畜草研)・池口厚男(農研機構)
村野實・加川征宏(シオン電機)・吉野蔵弘(ピュアライン)
畜舎ストール牛床に配管を行い、畜冷熱システムで生成した冷水を循環させて乳牛周辺環境を改善することに着目した。床面冷却装置とファンコイルを用いた局所冷(温)風装置を試作し、この利用条件を検討するとともに、乳牛を使用してその利用性を把握する。冷水循環により床マット表面温度は気温に対して4-6℃低温となった。
(A25)
個別酪農家用バイオガスプラントのエネルギー的評価
菱沼竜男・干場信司・森田茂・岡本全弘(酪農大)
塚田芳久(竹中工務店)・天野徹(グリーンプラン)
個別農家用バイオガスプラントの建設から運転までのエネルギー収支を総合的に比較検討した。総投入化石エネルギーと総産出エネルギーが釣り合うには、電気、熱のみの場合は7年間、消化液の肥料としての有効利用も考慮した場合は3年間の運転年数が必要であった。
(A26)
個別酪農家用バイオガスプラントの経済的評価
干場信司・菱沼竜男・森田茂・岡本全弘(酪農大)
塚田芳久(竹中工務店)・天野徹(グリーンプラン)
個別農家用バイオガスプラントの建設から運転における総合的経済収支を推定し、経済的設立要件を検討した。消化液の肥料としての有効利用が行えるという前提条件の下で、初期投資金額、売電単価に改善措置が考慮された場合にのみ経済的に成立することがわかった。
(A27)
畜舎内粉塵からのアンモニアの離脱
猫本健司(酪農大)・高井久光・P.J.Dahl(Danish Inst.Agri.Sci.)
平田園恵・岡本英竜(・森田茂・干場信司(酪農大)
鶏舎・豚舎および牛舎において粉塵を採取し、粉塵に含まれるアンモニア量と、その離脱速度を調査した。畜舎内の浮遊粉塵は呼吸を介してアンモニアを生体内に運び、悪影響を及ぼす可能性があることが示唆された。畜舎において粉塵の発生を抑制し、除去することは、臭気軽減や空気環境の向上に重要な要素である。