(B1)

既存統計を用いた食品産業の物質フロー解析
−茨城県を事例とした地域診断モデルの開発−

宮竹史仁(食総研[現:宇都宮大])・岡留博司・椎名武夫(食総研)

 官庁等により公開されている既存統計を用いて食品産業の物質フローを推計し、原重量、窒素、炭素を指標とした地域診断モデルを開発した。地域レベルにおける食料資源フローの実態が明らかになった。本手法は比較的簡易に物質フロー・モデルを作成することができるため、地域を一次的に診断するモデルとして有効である。


(B2)

調理用トマトの真空乾燥における成分変化

中村俊輝・田川彰男・折笠貴寛・飯本光雄(千葉大)

 本研究では、減圧下において乾燥する真空乾燥を用いて調理用トマトの乾燥を行い成分変化について調査した。またブランチング条件の検討を行った。乾燥課程における成分変化として乾燥前後におけるリコピンおよびβ-カロチンの含有量の測定を行い、乾燥後ではリコピン、β-カロチンともに絶対量は減少していることが確認された。


(B3)

青果物の熱風乾燥におけるハードニング防止について

折笠貴寛・田川彰男・中村俊輝・飯本光雄(千葉大)

 試料表面を濡らした状態で調理用トマトおよびキウイフルーツの熱風乾燥を行い、乾燥による試料表面の硬化防止を検討した。その結果、減率乾燥第1段において乾燥速度が上昇する結果が得られ、恒率乾燥の状態に近づけることで乾燥速度の減少を抑制できることが示唆された。


(B4)

減圧噴霧乾燥のためのプロバイオティクス食品の物性測定

本多慎平・北村豊・橋本光・佐竹隆顕(筑波大)

 乾燥塔内を減圧して従来よりも低温で噴霧乾燥する減圧噴霧乾燥法(Vacuum Spray Drying, VSD法)を提案し、そのシステム構成や装置仕様あるいは操作条件の策定のために必要とされる供試材料(乳酸菌飲料)の諸物性すなわち微生物活性、固形分濃度、蒸気圧、密度、動粘度、表面張力などを測定した。


(B5)

分光画像を用いた多変量解析による温州ミカン腐敗果判定法の開発

中嶌輝子・吉川公規(静岡柑試)

 可視から近赤外領域までの連続した分光画像が得られる装置を用い、温州ミカンの腐敗部の識別を試み、その可能性が示されたため(既報)、多変量解析による腐敗果判定法の開発を試みた。分光画像にPLS回帰分析とSIMCA解析で得られた検量式を組み込み作成したイメージ画像は、どちらの検量式も温州ミカンに生じた水侵状の腐敗部を概ね判別できることが確認できた。


(B6)

無機塩類液体培養によるカバノアナタケのアミノ酸の生成特性

院多本華夫・狩野優介・賈俊業・前川孝昭(筑波大)

 無機塩類、炭素源および有機酸からなる培地を使い、カバノアナタケの菌糸液体培養を行い、培地の変質、菌糸生産量、培養液中のアミノ酸生成を調べた。培養液に無機塩類のみではO-phosphoserineおよびL-citrullineのみ検出されたが、有機酸を加えた場合、L-glutamic acidおよびGABAが新たに検出された。


(B7)

近赤外分光法による食用担子菌類の培養液中の機能性成分の検討

賈俊業・院多本華夫・前川孝昭(筑波大)

 近赤外分光法(NIR法)による食用担子菌類の菌株の判別及び培養液中にある生理活性成分の迅速な判定法を試みた。得られたスペクトルデータをクラスター分析手法により成分組成の測定の可能性を検討した。


(B8)

固食の安全と品質保証システムのSQFの可能性

守田和夫・坂本文男・田中史彦(鹿児島大)

 Agaricus blazei Murill生産者段階での食の安全と品質保証システムを構築するため、Sqfsafe Quality Food)プログラム開発に着手している。SQFは国際認証基準であると同時に、地域に適合したプログラムの開発が可能であり、特に生産者段階での安全と品質管理プログラムの開発のための調査、分析にSQFは極めて有効である。


(B9)

木酢液の有効利用に関する基礎的研究

齊藤浩一・飯本光雄・田川彰男(千葉大)

 ナシの剪定枝より木酢液を採取し、主要含有成分および植物活性効果について調査した。木酢液には環境汚染物質が含まれていたが、一般に使用するように、例えば500倍に希釈して用いる場合は問題がないと思われる。また、木酢液を散布した試験区のホウレンソウは対照区のホウレンソウに比べ展開本葉数が有意に大となった。これは木酢液の主成分である酢酸によるものと推察する。


(B10)

エダマメ精選別技術の開発

片平光彦(秋田農試)・嶋田浩(秋田県大)

 開発した方法は、一台のCCDカメラでエダマメ莢の全面(360°)を認識させる多面認識技術を用いて、傷部の抽出を行うものである。エダマメ莢は、連絡するベルトコンベアの段差で落下させ、落下部に120°の角度で連結した合わせ鏡、姿勢安定板、照明を配置した画像取得部によって、全周囲画像を取得する。エダマメ莢の傷認識を比較した結果、選別精度は78.6%であった。


(B11)

ニューラルネットワークを用いた匂いセンサーによる食品香料の識別

林秀杰(筑波大)・阪田治(食総研)・黒澤茂(産総研)橋本光・北村豊・佐竹隆顕(筑波大)

 セルロース膜を被覆した水晶振動子式匂いセンサーを用い、測定時間の短縮を目的とした窒素ガスフロー法により食品香料の吸着実験を行った。センサー出力値のニューラルネットワーク処理によるパターン認識を行う一方、主成分分析を行い13種類の食品香料の識別を試みた。


(B12)

焙煎ゴマ油の加工貯蔵に伴う品質および極微弱発光の変化

はぎ原昌司(食総研)・兀下伸二・関圭吾(かどや製油)・齋藤高弘・志賀徹(宇都宮大)・大谷敏郎(食総研)

 本研究は、極微弱発光計測を用いた焙煎ゴマ油の品質評価法開発を目的とする。製造時の焙煎工程により品質が向上し発光量も増加すること、長期間貯蔵時中は発光量が減少すること等が明らかになり、極微弱発光計測が初期劣化時の品質評価に適していることが示された。


(B13)

SAによる施設内機械装置の最適配置設計
−施設の天井形状を考慮した設計−

阪田治(食総研)・北村豊・佐竹隆顕(筑波大)

 生物生産施設について、個々の施設特有の条件を満たす施設配置設計を、計算機シミュレーションにより実現する方法を論じる。例としてライスセンター内の大型機械配置設計をとりあげ、シミュレーテッド・アニーリング(SA)を援用し、建物の高さと機械の高さの関係を考慮した設計を行った。


(B14)

大型境界層風洞における気流作成法に関する検討

石井雅久・佐瀬勘紀・池口厚男・森山英樹・奥島里美(農工研)
小綿寿志(農研機構本部)・Murat Kacira(農工研)

 スパイヤとラフネスブロックを用いて、風洞内の気流(縮尺:1/20)を作成した。風速の垂直分布と粗度長は目標値と一致したが、乱れの強さは小さかった。したがって、運動学的相似条件を満たすためには、ラフネスブロックの検討に加え、乱流格子や人工芝などで一様乱流を作成し、気流の乱れを大きくする必要がある。


(B15)

ニューラルネットワークとRosenbrock法による
'土佐文旦'の最適栽培条件探索に関する研究

河野俊夫(高知大)・北島宣(京大)・山崎安津・田中悠起・大畑宏史・長谷川耕二郎(高知大)

 種子数の少ない'土佐文旦'を生産することを目的とし、種子形成抑制効果のあるストレプトマイシンを利用して種々の条件下で栽培を行い、栽培条件と果実の特性との関係を数量的に結びつける手法の利用によって最適栽培条件探索について検討した。


(B16)

台風0314号による沖縄県宮古島の園芸施設被害について

玉城麿(沖縄農試)

 台風0314号は、沖縄県宮古島を24時間暴風域に入れ、大規模な災害を引き起こした。被災状況を調査した結果、多くの被災施設でコンクリート基礎の破壊や転倒、柱脚の折れ、資材接合部の破損が確認できた。その内、ネット式鋼管施設は妻面より長手方向約6.0mの範囲内で大きな被害が生じたが、6.0m以上では、支柱の傾斜(20°以上)以外に目立った被害が無く、作業機で引き上げることで、利用可能な状態に修復できた。


(B17)

数値計算による連棟ハウスの温風送風式融雪システムの
能力算定と屋外実験との比較

古野伸典(山形村山支庁)・佐瀬勘紀・石井雅久(農工研)

 温風送風式の融雪システムについて、強制対流領域と自然対流領域に分割して融雪能力を算定し、実測値と比較した。強制対流領域の融雪量が全体に占める割合は82%と高かった。実測値の最大値は約1.5(kg/m2)/hとなり、算定値よりやや少なかった。今後、ダクトの設置位置、吹き出し風速・温度等の最適化が必要である。


(B18)

コマツナの室内栽培における太陽光集光装置の利用

福原洋介・飯本光雄・田川彰男(千葉大)

 人工光源と太陽光集光装置を併用した併用区および人工光源のみの単独光源区においてコマツナ栽培を行い、生育および消費電力量を比較した。併用区のコマツナの草丈は単独光源区のそれより有意に小となった。これは併用区の昼夜の温度差が単独光源区よりも小さかったためだと推察された。また、併用区の人工光源の消費電力量は単独光源区の78%であった。


(B19)

磁気処理水が植物の生長に及ぼす影響
および水耕栽培における磁気処理水利用の検討

安良岡正裕・飯本光雄・田川彰男(千葉大)

 水耕栽培において養液を磁気処理し、磁気処理水がコマツナおよび藻の繁殖に及ぼす影響を調べ、水耕栽培における磁気処理水利用の可能性を検討した。その結果、磁気処理水はコマツナの生長に影響を及ぼさなかったものの、磁気処理水による循環ポンプ内部の藻の繁殖抑制効果が認められた。


(B20)

日光温室の熱環境形成機構に関する研究
−遼瀋U型大型温室における熱環境特性について−

文哲民・山口智治(筑波大)・畔柳武司(近中四農研)・趙淑梅(筑波大)・王鉄良・佟国紅・白义奎(瀋陽農大)

 第3世代大型日光温室(遼瀋U型)において、無栽培・無暖房状態での基本的熱環境計測を6か月間実施した。夜間の室温維持は、小型温室と同様に土壌と北壁の日中蓄熱の室内側への還流によるものであった。室内気温が5℃以下になる場合があり、改善策が必要とされた。


(B21)

日光温室の熱環境形成機構に関する研究
−数値モデルによる温室構造が室内気温に及ぼす影響の検討−

畔柳武司(近中四農研)・山口智治(筑波大)

 開発した熱環境予測数値モデルによって、保温カーテンや北側固体壁など日光温室の構造が室内気温に及ぼす影響を検討した。室内気温は、保温カーテンを厚くすることにより熱貫流抵抗を後屋根と同程度まで高めると、約6℃上昇する余地のあることが示された。また北壁の構造は12cm厚の煉瓦壁と室外側の10p厚の断熱材で十分な蓄・断熱効果が得られることが示された。


(B22)

小規模根域冷却育苗技術の開発
−セルトレイ表面被覆処理の効果−

長ア裕司・玉城勝彦・金井源太(中央農研)

 高温期のレタスセル成型苗育苗において、根域冷却を狙った低温水底面給水に加え、培地の昇温抑制を図るため発泡樹脂ペレットによる表面被覆処理を検討した。培地温の抑制効果は明らかにできなかったものの、苗地上部のコンパクト化が図れた。今後は発泡樹脂ペレットに代わる表面被覆資材について検討し、低温水処理と組み合わせた高温期の高品質苗生産技術に発展させる


(B23)

片屋根型プラスチックハウスの温熱環境特性
−換気性向上に有効な補助開放方法−

長ア裕司・玉城勝彦・金井源太(中央農研)

 側面の開放面積が大きくとれる片屋根型ハウスの風通しの良さを1/2模型で確認し、実大ハウスにおいて妻面開放による換気促進効果を確認した。その結果、片屋根型は風の取り込みがアーチ型に比べて優れており、妻面も含めた開放により、暖気が滞留する箇所を小さくできた。防虫網を組み込んだ状態での換気性等の維持を図る技術の検討が今後の課題である。


農業施設学会