生鮮農産物の電気的特性による非破壊水分測定のための基礎的データを得ることを目的とした。今回は穀物電磁的質量特性を測定解析できる計測システムを作成し、インピーダンスと等価質量・等価抵抗およびリアクタンスを、700kHz〜1MHZの周波数において非破壊で測定した。含水率の低下によりインピーダンス、直・並列等価質量、リアクタンスおよび直列等価抵抗は減少し、並列等価抵抗は増大する傾向がみられた。
マイクロ波は果実中では水中より早く伝搬する。回折波を除去し直進透過波のみによるCT像を得るため、伝搬時間ゲートを設け、このゲート内のデータをフーリエ交換し、直線経路の減衰量周波数特性を得た。投影データとして減衰量を用い周波数と時間ゲートを種々選択することにより、水中計測で果実の空洞CT像が得られた。
殻付落花生の等級選別工程を改善するため、光学的手法に着目し、可視、近赤外、赤外光域の光反射特性を測定し、機械化のための基礎的なデータ収集と解析を行い、非破壊での総合的な品質判定の可能性について検討した。可視光域では表皮色との関係を調べ、試作機による選別の可能性を示した。近赤外光域では二次微分スペクトル波長と水分、脂質など内部品質との関係を示し、赤外域では表面温度特性から内部状態の検出を可能にした。
近赤外分光法により、ナシ果実(品種:幸水)肥大成育中の糖度(Brix値)測定を試み、単年度産試料による検量線を作成した。これを用いて、次年度産試料及び温度の異なる試料に対する予測を行った結果、Bias補正或いは測定試料のデータを加えて検量線更新を行うことにより、検量線の測定精度を維持できることがわかった。
近赤外分光法により、肥大生育中のナシ果実(品質:幸水)の主要な糖である蔗糖、ブドウ糖、果糖、ソルビトールの測定を試みた。果汁による蔗糖の測定では良好な結果を得たが、他の糖では正確な測定ができなかった。これは、各糖の官能基や構造が共通し、吸収帯が重なる事及び各糖濃度の変化幅が小さいこと等があげられる。
マスクメロンを用いて、非破壊で糖度(BRIX値)を推測することを目的として実験を行った。特に検量線の第1波長を選択するときの方法について、コンピュータによる自動選択と蔗糖水溶液をもとに蔗糖に関係のある波長を指定した場合の比較を行った。その結果、水溶液をもとにと関係のある波長を確かめることにより検量線の第1波長を選択することの有効性が認められた。
横波超音波を用いてスイカの空洞果検出、マンゴの熟度判定およびビワの生理障害果の検出に関する実験を行った。その結果、スイカの空洞果は2点の測定値の5ms以前の最大振幅値によって、マンゴの熟度は最大振幅値とピークエネルギー値との積によって、ビワの生理障害果は最大振幅値によって、検出または判定できた。
パッシブ水耕方式により栽培したメロンの茎部に100kHzから1MHzの高周波数域の微弱音が計測可能なAEセンサーを取り付け、計測を行った。その結果、茎部からの音の発生を捉えることができた。熱パルス型ステムゲージによる茎内流量との比較から、音の発生は植物体内の水分ストレスと関係があると推察された。
等級(特・秀・優・可・良)選別された“ふじ"各クラス1箱(約30玉)のリンゴの準静的圧縮試験をおこなった。計測項目は17項目とし、各項目間の相関を調べた。機械選別に使用できる程、相関の高い項目は見つからなかったが糖度についての相関係数は赤道部の破断強度で-0.68などがあった。
筆者の考案した電気的な密度選果法が実用化し、平成4年7・8月、石川県羽昨郡志賀農協のスイカ共同選果施設で稼働した。空洞の大きさが定量化でき高い判別精度をもつため、高い評価を得た。さらに、スイカの果実密度と果肉糖度の関係について測定した結果、空洞果を含め低密度果の糖度は高く、高密度果の糖度は低い傾向が見られ、密度による糖度選別の見通しが得られた。
光線利用の非破壊選別に関し、選別の障害となる光のみを効率的に遮断または吸収して、選別を確実、容易、迅速に行える方式を基本原理とする非破壊大量選別方式を開発した。内容は対象物の特性に応じた光透過スペクトルと分光分布からみた光源適性、目視判定難易度に関する周囲照度と被判定物照度の関係、洩れ光線遮断充填物の大きさ並びに試作機の実証試験で構成されている。
従来のミカン選果施設の計量工程は、箱詰めと計量を同時に行っているので、さらに効率を上げる方法がない。ここでは、箱詰め工程と計量工程を分離するシステム-各サイズの平均重量と基準偏差から投入個数を算出する式から箱詰め時に投入個数を算出し、その後で計量し不足があれば不足分に対する個数を算出する式から個数を求め計量し、一定量を超えるまで繰り返す方法-を考案し、シミュレーションで確認した。
ラッキョウの分光反射特性を求め、光量電圧変換回路を作成してラッキョウの芽部方向の検出を試みた。ラッキョウの分光反射特性は芽部と尾部で異なった。静置した、また搬送した(15から50cm/s)ラッキョウのいずれの場合も、芽部方向がすべて正しく検出でき、光量電圧変換回路による姿勢制御が可能であることが示された。
リンゴの全周囲を一括して画像収集できるシステムを開発し、打撲等の破損果や白色葉形等の着色不良果の検出法と、等級判定法を検討した。垂直軸を中心に18゜ずつ回転させ計20画面を一枚の展開図に合成し、その画像データを判別分析とニューラルネットワークにより等級判定した。その結果、両者とも正常果、打撲果、着色不良果を良好に判別できることがわかった。
収穫後予冷を行い、鉄道コンテナを利用して北海道から東京に出荷する場合の品温変化をレタス(段ボール箱詰め)とレッドチコリ(発泡スチロール箱詰め)について連続測定した。収穫後のレタス品温は約26℃、レッドチコリは16℃であったが、予冷庫では品温は指数関数的に低下した。市場到着時の品温は約6℃であった。容器の形態や位置が品温変化に及ぼす影響が検討された。
貯蔵庫(モデル:600×600×100)に微粒子の炭酸マグネシウムを粉霧したところへ、アルゴンレーザーライトシート光を照射し、気流にのった微粉の働きをビデオで撮影し、この映像に簡単な画像処理を施し貯蔵庫内の気流分布を明らかにした。特に、気流の吹き出し方法、ファンの取り付け位置および農産物の積み付け様式などによる気流分布の変化を調べた。
アイスポンドの冷水を熱交換し、180tの馬鈴しょを収容した貯蔵庫を3月末から6月末まで冷房した。その結果、5月末まで庫内は気温2℃、相対湿度93%以上に維持され、期間冷房成績係数は1.6であった。7か月間貯蔵した馬鈴しょは萌芽がなく、還元糖が大幅に増加した。
酸素濃度を21%、3%及び1%未満に調節し、パパイヤとアボカドの貯蔵性について検討した。これらの処理区の中では、全体的には3%区が最も貯蔵性が優れていた。しかし酸素濃度を1%未満にすると高温では短期間で、また比較的低温でも長期間貯蔵すると、果実の味・香りの低下や内部褐変が起こり、品質の低下をもたらした。
予冷に使用中の強制通風式貯蔵庫内の経時変化、気流や温湿度の空間分布を現場測定した。庫内気温は空調装置がオフ時には最大5.4℃まで上昇した(設定は4℃)。庫内の気流速は0.1〜0.9m/sで、中心部や吸気口近傍が高く、四隅とダクト直下が低かった。パレット側面を吸気口に向う主流が形成されている様子が示されてた。気温分布は気流に類似した分布となっており、気流速が小さいほど、また、吸入口に近づくに従って高かった。
カンキツ貯蔵庫における空気循環式除臭装置を考案試作し、その結果を実験的の検討した。除臭材は産業廃棄物の石炭灰から生成した人工ゼオライト(粒状)である。貯蔵庫にカンキツの腐敗臭を充満させて除臭装置を稼働させた場合、ニオイ指示値(ニオイセンサー、SF-105)80〜90Hzは時間の経過と共に漸減し(11Hz/10h)、除臭効果がみられた。風量一定(110m3/h)では、ゼオライト量が多い時(2倍)に除臭効率が高く、平均14Hz/10hであった。
食味に加え、輸送性、日持ち性などを考慮したイチゴの鮮度保持技術開発の一環として、低温貯蔵、鮮度保持フィルムの利用、および品種による流通適性の差異について検討した。用いた品種は「女蜂」と「雷蜂」の2種で、鮮度保持フィルムとしてヒノキチオールの保鮮紙を供した。この結果、ポリエチレンフィルム包装に効果が認められ、品種的には雷蜂が硬度が高く維持されたが、糖度は女蜂の方が高く維持された。