従来の熱風乾燥機に代わりヒートポンプを使った大型乾燥施設が増大している。この常温除湿乾燥機は温度依存性の高い熱風乾燥理論では整合性が低い温度領域での乾燥が行われ、新たな理論解析が必要である。本研究では乾燥定数に温度、湿度及び温湿度項を加えた関数を提唱し、常温低湿での精密な乾燥実験を行った。その結果、常温付近での籾の乾燥速度と相対湿度の関係が明らかになり、乾燥速度の湿度依存性が示された。
カントリエレベータの荷受けは、高水分籾で土日に集中する傾向が強くなり、荷受け処理能力を超える入荷があり、乾燥不十分な状態で保管されることがしばしばである。この改善策の1つとして、既存のサイロを利用した冷却貯蔵の可能性について検討した。17.2%の籾(200t)を48hで13℃することができ、19.9%および22.4%の籾(100t)を9℃まで冷却すると1週間の貯蔵が可能であった。
第1報でシミュレーションによって、本乾燥システムの有効性を予測したが、本報では空気の平衡含水率に着目した制御法を提案し、シミュレーションと試作実験装置での実験結果と比較して有効性を検討し次の結果が得られた。@シミュレーションと実験結果吸湿以外はよく一致した。A平衡含水率による制御は均一乾燥に有効である。B製品の胴割れは同一材料を除湿乾燥機で乾燥したものより少ない良品質が得られた。
乾燥施設で処理、貯蔵された米の評価が相対的に低いことの原因として、長期間にわたるサイロ貯蔵中の穀温の上昇が考えられる。本報では、モデルサイロ中に温度センサを設置し、穀温の上昇を制御する方策の実証試験を行った。その結果、サイロ壁にアルミシートを貼付する方法及びサイロ壁を濡れ壁とする方法が、同程度に効果的であることが明らかとなった。
乾燥施設への入荷ピークが著しくなり、滞貨中の籾の変質、オペレータの長時間労働などが問題となっている。入荷量を計画的に調整することは最も重要であるが、本報では荷受けシステムの作業効率を荷受け要素を用いて数式化することにより分析した。さらに、その結果をもとに4ケ所の乾燥施設における荷受け過程を計測し、それぞれの問題点を考察した。
常温除湿機を導入した大型乾燥施設では一台の送風機で多数の乾燥ビンの下方向から同時送風する方式が採用されている。各ビンの穀物充填量は不均一であるため、安全限界風量化を超える恐れがある。本研究は実際の施設が効率的に稼働する状況を把握するため、各ビンの予想充填量から風量日を予測し、適切な条件で多数ビン同時通風乾燥を行うための数値シミュレーションを行った。
大型乾燥施設での多数乾燥ビンの同時通風方式を実験的に検討するため、各ビンの充填量が異なる場合のチャンバ内静圧、空塔風速および風量比などを求め、測定値と第1報で導いた算定式による計算値を比較し、その適合性を示した。また、通風面積と全通風抵抗および送風機効率の関係を調べ、送風機が効率よく作動するための堆積状態および限界充填量の予測に関する解析を行った。
乾燥過程での品質低下を評価する指標として、呼吸特性の導入を試みた。加熱操作が籾の呼吸商および呼吸量に及ぼす影響をガスモニタ、ガスクロマトグラフで調べた。(1)呼吸商の値は概ね1で、加熱による呼吸基質の変化は生じない、(2)加熱による呼吸量の低下現象が認められたので、品質低下を評価する指標として呼吸量は有望であるが、20%以上の高水分域において比較的高い温度で測定を実施する必要があること等を示した。
3タイプ(Japomica/Indica/Javanica)4品種の米粒を供試して、精白プロセスにおける形状の変化を2次元画像計測装置で解析した。精白には円筒摩擦式・うすらせん式・研削式の各精米機を供試した。計測項目は面積・周長・最大長・最大幅・円形度・長幅比・粒重・精白歩合・破米率とした。まず表裏の影響を調べ、次に玄米を含めて各精白プロセスの形状変化を追跡した。
昭和52年度産ニホンマサリを水分13%に乾燥、γ線を0.30、300krad照射、0〜5℃で玄米及び籾貯蔵した。15年半貯蔵時佐竹食味計の食味値は無照射玄米50、30krad籾45,300krad籾40で、パネルテストも良い一致を見た。無照射玄米の発芽率62%、脂肪酸度33mgKOH-100gである。
米粒の形態(籾、玄米、普通精白米、通称クリーン米)と貯蔵環境(温度、空気組成)との組み合わせによる貯蔵実験を行い、品質変化を脂肪酸度、NIR、RVA分析により評価した。結果は籾、クリーン米形態の貯蔵性が優れ、また脱酸素剤の使用も効果あることを示した。
乾燥前に米の品質を判定し、差別化乾燥等を可能にするため、乾燥前の高水分籾をインペラ籾すり機で脱ぷした玄米から光学的な外観品質判定および近赤外線分析計による内観品質分析を行うシステムを提案し、本システムの技術検討をした。その結果、外観品質は良質粒の判定はじゅうぶんな精度で可能であり、内観品質も、粉砕粒度を揃えれば可能と考えられる。ただし、アミロースの成分分析は現状ではかなり難しいことがわかった。
近年、省力化、規模拡大などへの期待からフリーストール牛舎を導入する酪農家が増加する傾向が見られる。本報ではアンケート調査によって、フリーストール牛舎の現状と導入時の問題点を把握することを目的とした。問題点として肢蹄病の増加、個体管理のしづらさ(餌管理など)、ふん尿処理が困難などが挙げられた。
フリーストール牛舎のアンケート調査から、ストールサイズ、床材、敷料、隔柵、ストール内の事故、隔柵の破損などストール構造に関する調査結果を報告した。ストール内の事故または隔柵の破損は、回答農家の71%が経験しており、隔柵の適正な配置や取付部分の必要強度の解明が必要であると考えられた。
ここ4年ほど、北海道で42〜56基/年、都府県で55〜62基/年のパーラ建設が行われ、現在では800基以上のパーラ稼働が予測された。最近のパーラ規模の平均は11ストール/基で、8,12ストール規模のパーラではヘリンボンパーラの採用が多い。15ストール以上の大規模パーラではパラレルパーラ、6ストール以下の小規模パーラではタンデムパーラの比率が高い傾向が見られる。
ストール寸法と隔柵形状の違いがストール内の乳牛の動作行動に及ぼす影響をVTR画像の解析から調査した。ミシガン型隔柵は、他の隔柵に比較して横臥時のき甲部がストール中心線に近づき、横臥角度(き甲部と十字部を結ぶ線がストール中心線となす角度)が大きく振れる特徴があった。そのため、尾端部は他の隔柵より10cm程度牛床内側に位置した。左横臥と右横臥では横臥位置に系統的な差がみられた。
ストール隔柵の合理的な強度設計、また隔柵の形状を牛にとっての快適性の面から評価することを目的として、U字型、ミシガン型、支柱付標準型の3種の隔柵に対する牛加力の測定を行い、加力の大きさや作用位置等の結果を報告した。ミシガン型隔柵は他の隔柵に比べて、大加力の発生が少ない傾向があった。
日本と中国では畜舎を建築する場合、住宅と同じ建築基準によって構造強度等が決められているが、カナダではその独自の基準が適用されている。そこで本研究では、まず農業建築物に対する法規制について日本とカナダとの比較を行い、これに基づいて、同じ規模の畜舎を日本とカナダの法規制の下で建てた場合の使用部材重量を比較した。
実験から得られた融雪効率の推定式を用いて、条件を想定した畜舎の融雪可能量を推定した。岩見沢の成雌豚舎では融雪を行えば除雪の必要はないという結果だった。排気の湿度が融雪量に及ぼす影響について検討し、湿度の高い排気の方が融雪量が大きいという結果を得た。
火力乾燥による糞尿処理を含めた系の地域別、鶏舎型別のエントロピー収支の計算を行い、特にエントロピー生成と熱源の温度変化との関係について検討した。生成は低温熱源(外気温度)の変化に追従した。また、エントロピー生成は温暖地域と比較し、寒冷地域のほうが小さく、閉鎖型より開放型の方が小さくなった。鶏卵生産より糞尿処理系による生成は寒冷地域における開放型で大きかった。
鶏舎では、糞からの有害ガスの発生があり、糞の除去(糞棚からの掻き落し)の必要性は高い。無人走行を主な改良点とする除糞機を試作し、除糞作業時の心拍数変化を測定した。安静、作業、回復の過程が明確になり作業負荷に応じた数値を示した。心拍数増加率は改良機が110%で従来機(141%)に比して小さかった。また、前者は単位時間当たり作業量で約1.4倍大きかった。
無作為に選んだ畜産農家に悪臭問題に関するアンケート調査を依頼し、回収できた129件について集計整理した。牛舎内の臭気は、六段階臭気強度表示法で2の段階、豚舎および鶏舎は4と5の段階に集中している。全畜種において、糞臭とアンモニア臭が特に多く回答され、豚は両方とも80%を超えている。全畜舎において雨天時、無風時、6月から8月までの3ヶ月および11時から15時までの4時間に最も臭気が強く感じると回答している。
北海道の河川の汚染の顕在化に伴い、本研究は酪農地帯の水質調査及び農家の意識調査を行い対策の提案をした。河川の汚染源は、野積みの家畜糞尿堆肥盤からの直接流出、牧草地へ撒いた糞尿の地下浸透、畑地暗渠からの流出であった。対策として糞尿処理と土壌浸透法の実施が考えられた。意識調査の環境保全では、経営者の意識は高いが主婦には系統的な教育が必要と考えられた。