(B1)

施設園芸土壌における塩類集積と酸性化について
−1作付け期間中の化学量の変動−

山口智治・安部征雄・横田誠司(筑波大)

 園芸ハウス土壌の多くは、継続的長期栽培での過剰施肥や被覆材による降雨遮断型環境条件下でいわゆる土壌劣化の過程にある。栽培土壌環境の改善のための方策を探るため、ここでは1作付け期間中における土壌化学特性の変動経過、すなわち土壌のpH、電気伝導度(EC)、水溶性イオン含量および交換性イオン含量などハウ土壌の化学性の変化について分析し、基礎データを得た。


(B2)

貯蔵施設内気流のCGによる可視化

奥島里美・佐瀬勘紀(農工研)・椎名武夫(北海道農試)・大谷敏郎(農工研)

 貯蔵施設内の流れの数値計算により得られた数値データを読み込み、表示断面や表示対象データを選択した後、ベクトルやスカラー分布として表示できる可視化モジュールを作成した。また、トレーサーであるパーティクルを放出した後、その動きをアニメーションにより表示するモジュールを作成した。これにより、貯蔵施設内の複雑な気流性状や換気性能を調べることができた。


(B3)

集出荷施設の効率的配置に関する研究

尾原靖博・志賀徹・齋藤高弘(宇都宮大)

 集出荷施設の規模の最適化及び効率的な配置を目指し、入荷量、持ち込み時間、ラインの稼働時間及びオペレータの労働量などを調査した。生産者の入荷量の各ラインへの分配はほぼ均等であったが、2段積み段ボールの荷崩れやオペレータの熟練度の差により処理量には差があった。荷受け工程を待ち行列理論で解析し、実際の荷受けに近いシミュレーション結果を得た。現行配置では検査員の処理能力が荷受け工程を処理能力を決定していた。


(B4)

農産物貯蔵庫の環境分布特性の解析(1)
−大型モデル貯蔵庫と計測・解析システム−

椎名武夫・山内宏昭(北海道農試)・佐瀬勘紀・奥島里美(農工研)

 貯蔵庫内の環境特性解析のため、大型貯蔵庫(9×6×5H(m))、環境計測機器(多点風速計、ハイブリッドレコーダ)、数値流体解析装置(EWS、汎用流体解析ソフト)等で構成されるシステムを構築した。施設や空調設備の形態、制御方法、産物の配置や量の影響を、計測とシミュレーションを組み合わせて解析できる。


(B5)

青果物予冷技術の効率化に関する研究(1)
−容器の冷却面積および庫内風速が冷却速度に及ぼす影響−

萩原昌司・井尻勉・小綿寿志(食総研)

 空気冷却において、容器の冷却面積や庫内風速が冷却速度に与える影響を1箱及び複数の箱での冷却実験により明らかにした。冷却面積や風速を変化させたときの冷却状況はニュートンの冷却の式に回帰され、冷却速度(冷却曲線の傾き)との間にそれぞれ相関が得られ、積み方を変えたときに冷却速度がどの程度変化するかを推定することができた。


(B6)

カーネーションの強制開花に関する研究(1)
収穫後の処理条件が開花速度と品質に及ぼす影響

水口聡・渡辺久・川崎哲郎(愛媛農試)

 強制開花処理により開花が早く進み、25℃及び30℃で処理した場合、ステージ1及び3の蕾がステージ6に達するまでの日数がハウス内生育の約2分の1に短縮できることが明らかとなった。しかし、30℃で処理した場合、花弁の色調差が大きくなった。従って、カーネーションの蕾強制開花に適した蕾ステージはステージ3以前、処理温度は25℃であると考えられる。


(B7)

切り花流通における包装形態の実態調査

川上昭太郎・坂口栄一郎・藍房和(東農大)・打田宏(JA全農)

 切り花のより効率の良い流通技術を求めるための基礎調査として、平成7年3〜12月に東京都中央卸売市場大田市場花き部で368個の切り花の箱の品名,生産地,出荷団体,包装資材の種類・寸法,品種表示等の位置などについて調査を行った。横型のダンボール容器350個の箱の大きさは、花の種類によって異なるが箱の長さの分布は大きく、幅・深さの分布は小さかった。


(B8)

貯蔵温度の変動がキャベツの色変化に及ぼす影響

小綿寿志(食総研)

 気温が変動する環境下でキャベツを6週間貯蔵し、気温変動が葉の色の変化に及ぼす影響および包装形態の違いによる影響を検討した。その結果、貯蔵中のキャベツの色変化(色差)は定温貯蔵に比べて大きいが、フィルム折込み区では段ボール箱詰め区やバラ貯蔵区に比べて色変化が小さかった。また、平均品温が若干高くても気温変動のパターンによっては色変化が小さくなる可能性が見られたが、より厳密な測定の必要を認めた。


(B9)

青果物の呼吸モデルについて

疋田慶夫・安部武美・T.M.Afzal(愛媛大)

 青果物の貯蔵あるいは鮮度保持技術においては呼吸特性の解明とデ−タの蓄積が重要である。伊予柑、ネ−ブル、イチゴを用いて閉鎖システムによる測定を行った。1.容器内のO2、CO2濃度変化は指数関数でほぼ近似することができた。2.O2濃度と呼吸速度はほぼ比例関係にあることが分かった。3.大気ガスが呼吸基質となる場合の呼吸モデルとして、O2濃度と温度を変数にしたArrhenius式の導入が示唆された。


(B10)

ハウス豚舎における発酵床の一調査事例

松田從三・前田武己・竹川彰則(北大)・岩淵和則(山形大)

 ハウス豚舎の発酵床の性状を調査した。水分は乾燥部表面では20%台、深部で40〜60%であり、湿潤部では表面で40〜60%、深部では60%台であった。床の浅部では総窒素含量が高く、深部ほど少なり、アンモニア態窒素が占める割合も浅部が多く、深部にほど少なくなっている。pHはほぼアンモニア態窒素に対応して浅部が高く、深部が低くなっている。


(B11)

畜ふんコンポスト化施設用脱臭システムの実用化

木村俊範・金南振・小貫聡史(筑波大)・道宗直昭(生研機構)

 ロックウールを脱臭メディアとする微生物脱臭装置の実用化を目的とし、牛ふんの実用堆肥化施設に付設した実用規模システム脱臭槽内部の情報を収集した。その結果、運転条件等の変化に伴い、深さ約1.5mを境にしてメディアの物理化学特性に違いが生じ易いことが認められ、充填槽の適正深さや所要動力軽減を検討する上での有用な情報となった。


(B12)

花粉管によるコンポスト腐熟度および品質評価方法の検討

任順栄・院多本華夫・前川孝昭(筑波大)

 ナスとナツツバキの花粉管生長はコンポストの成分のフミン酸、一定量の硝酸態窒素、粗灰分間に正の相関を示し、アンモニア態窒素、揮発性有機酸、ECとの間には負の相関を示した。花粉管はコンポストの各成分に著しい感度があり、 花粉管の生長の大きさは,コンポストの完熟度および品質評価の判定にに有用と考えられる。


(B13)

アオコを含む水から発生する臭気の測定について

院多本華夫・前川孝昭 (筑波大)

 数種類のニオイセンサーで湖水のアオコ悪臭を測り、その発生源を探った。感度や反応速度の面から半導体センサーが有利であった。半導体センサー使用で湖水とその底泥から硫化水素の発生は他のガスと比べて高く、また、アオコ生物の腐敗過程からもその著しい発生が見られた。


(B14)

コイ養殖における微生物製剤混合餌の水質浄化効果

湯座聡・院多本華夫・前川孝昭(筑波大)・大賀守也(茨城県公技センタ)

 富栄養化によるプランクトンの増大はプランクトン食の魚類の増殖につながるため、魚類生産という点で研究が行われている。本研究ではコイとハクレンの組み合わせにより、アオコ等の藍藻の捕食を検討する。微生物製剤(EM製剤)の溶液にコイの餌を浸積したものを作成し対照区として微生物製剤を使用しない区を設け稚魚から成魚まで飼育し水質および体重増加量を計測する。


(B15)

中温メタン菌の増殖の温度依存性

黒須和代・前川孝昭(筑波大)

 中温メタン菌の培養温度を35℃から20、15、5℃に急激に低下させたメタン発酵実験では、5℃のみ発酵を停止した。5℃で長期間培養したメタン菌を5℃間隔で昇温・降温を行った実験では、昇温時の方が降温時よりも消化ガス発生量は高かった。降温実験では10℃から消化ガス発生は停止した。これらの結果は、培養温度とメタン菌叢の変化が関係しているものと考えられた。


(B16)

馬鈴薯でんぷん廃水の二相式メタン発酵法による処理

北村豊・田川彰男・林弘通(東農大)

 馬鈴薯でんぷん廃水処理へのメタン発酵法の導入を検討した。馬鈴薯を原料とする合成廃水の半連続供給によりメタン発酵過程の二相分離が達成された。また酸発酵槽における有機酸生成に関して最大収率係数0.64、自己分解係数0.16なる反応速度定数が得られた。一方でんぷん工場から搬入した実廃水の処理では、VAの蓄積による発酵機能の大幅な低下が観察された。この原因としてスタートアップ時のVA濃度の高すぎたことが推察された。


(B17)

メタン発酵消化液中の大腸菌群菌数

梅津一孝・我妻高弘・木村義彰・高畑英彦(帯畜大)・西部潤・瀬尾香里(十勝農協連)

 家畜糞尿を圃場還元する際に問題となる糞尿中の有害細菌の指標として糞便汚染指標菌である大腸菌群菌数について検討した。糞尿中の大腸菌群菌数は殺菌温度55℃以上で減少し、80℃では検出されなかった。メタン発酵消化液中の大腸菌群菌数は35℃では投入原料とくらべ大きな差は認められなかったが、42℃での減少量は明かに多く、加熱殺菌を行った区では皆無に近い結果を得た。


(B18)

岩綿を担体とする酢酸資化メタン菌による廃水処理

李文奇・張振亜・前川孝昭(筑波大)

 岩綿(ロックファイバー)を担体とする酢酸資化メタン菌による廃水処理においてロックファイバーを用いたリアクタの特性を調べた。岩綿へのメタン菌の固定作用がみられた。岩綿の使用によりリアクタの誘導期が短くなり、基質の消費速度は懸濁培養のみのものより早かった。連続培養を行った場合でのより安価で効率の良い微生物担体としての利用が期待される。


(B19)

H2資化性メタン菌の酢酸への基質変換時の挙動

張振亞・張燕生・前川孝昭(筑波大)

 CO2/H2系メタン菌群の従属栄養菌について検査を行った。まず、 2%およびグルコース、スクロース、キシロース、グリセロール各0.05%を入れた培地に101kPaのN2/CO2(80/20,v/v)気相で試験管でCO2/H2合成系メタン菌を培養した。その結果、3日間に6mLのメタン菌培養液に対し、2.5mLのメタンガスを生成した。この結果からH2資化性メタン菌はH2基質が無くなる場合に、有機物の分解からメタン生成能力を持っている。


(B20)

微生物製剤による生活廃水の浄化能力の評価

藤田和男・前川孝昭(筑波大)・中川力夫(茨城県)

 微生物製剤(EM)による生活廃水の浄化能力を評価した。実験室規模のモデルおよび有機合成廃水により実験を行った。水路を流下させることによるBOD、CODおよびT-Nの除去率はEM無添加で平均滞留時間2日の場合それぞれ93%, 79%, 70%であった。EMを添加した場合は各除去率が若干低下した。BOD, COD, T-N, T-Pについて得られたデータに対するt検定(有意水準5%)の結果、除去率には有意な差は見られなかった。


(B21)

藻類バイオリアクタを用いた魚類への酸素供給システムの評価

森岡理紀・前川孝昭(筑波大)

 宇宙開発等の局面で注目されている閉鎖生態系生命維持システム(LSS)技術において、そのさまざまな構成要素を結合した場合のシステム挙動に関する研究が必要とされている。本研究では藻類により魚類への酸素供給を行う小LSSを想定し、シミュレーションによって系内の変動とそれに伴う系の破綻を予測し、その解決法を探った。


農業施設学会