(A1)

貯蔵米の品質評価における炊飯特性項目の考察

三輪精博・後藤清和(岐阜大)・張萃明(四川工業学院、中国)

 米粒は、貯蔵中に古米化や黴による変質が起きる。炊飯特性で貯蔵米の品質を評価する方法は、少量の試料によって各種測定値が得られるので広く用いられている。しかし、従来の炊飯特性項目では測定値にあまり差が認められず、そのまま品質の評価に利用できないことがある。そこで、炊飯液の上澄み液とそのヨード呈色液の光通過率差等により品質を評価する方法を考察した。


(A2)

穀物の変質検知に関する研究(1)
−二酸化炭素濃度の変化による結露籾の検知−

後藤清和・三輪精博・森元洋(岐阜大)

 穀物乾燥貯蔵施設において、貯蔵穀物が発酵等により変質する事故が増加している。変質の原因の1つである結露を、二酸化炭素濃度の変化により検知することを検討した。結露籾量の乾籾量に対する割合や貯蔵温度を種々変化させ、乾粉層の上下の空間層で二酸化炭素濃度の測定を行った。測定の結果より、二酸化炭素濃度の経時的測定は、結露発生の検知に有効であると判断された。


(A3)

飯米による品質評価のためのテクスチャ計測法

清水直人・木村俊範(筑波大)

 多様な米が生産され、消費されているが、食素材としての米の品質は飯米で評価されるべきであり、その物理化学的性質の重要性は高い。本研究では、それら品質項目中でも取り分けテクスチャに着目し、その計測、評価を安定かつ再現性の良いものへと改善することを試みた。その実現には、計測に至るまでの炊飯、あるいは保持条件が大きく影響するため、条件の標準化が必要なことを再確認した。


(A4)

発芽玄米の食品化に関する研究(3)
−ベンチスケール発芽玄米製造装置の試作−

鈴木啓太郎・前川孝昭(筑波大)

 外部物理的環境により発芽過程初期の玄米の発根を抑制した発芽玄米を製造するベンチスケールの試験装置を試作した。玄米を浸漬する浸漬部と浸漬水を貯める貯水部を設置し、浸漬水を間欠的に循環させることにより発根を抑制できた。発根抑制は浸漬水中の溶存酸素濃度が関係していると推定される。


(A5)

乳酸発酵を用いた米パンケーキの製造技術改善

木村俊範・山田早穂・清水直人・小貫聡史・上野孝(筑波大)

 外国産米の輸入が定着し、その消費が停滞する基調の下で、品種特性を活かした利用法が求められている。本研究では、発酵基質として有利だとされる外国産米の特徴を活かした加工食品としてパンケーキを取り上げ、その加工特性の解明、並びに我が国消費者の嗜好に合致する加工程度、条件の検討を行った結果、インディカやバーボイル米の原料適性が優れていることを確かめた。


(A6)

ダウンオーガによる堆積籾層の撹拌特性

内田進・藤木徳実(佐賀大)

 ダウンオーガは丸ビンの籾の乾燥の良否を決める重要な要素である。ここではモデル(100×100×30cm)を製作し撹拌中の籾の移動状況および混合撹拌を調べた。その結果、オーガの撹拌範囲は籾層(60cm)で半径150mm、滑り角55゜が得られた。オーガを移動させた場合は撹拌部分は表層で30cmのV字型となった。これを実際の丸ビンに通用すると全域を撹拌するには上層部で25時間、下層部で30時間となった。


(A7)

マイクロ波TDRによる貯蔵穀物層水分分布の異常検出

後藤裕・加藤宏郎(京大)

 穀物乾燥貯蔵施設では、穀物層内に水分むらの異常が発生した状態のまま貯蔵すると、カビの発生や品質劣化を招き大きな損害を受けることになる。本研究では、サンプル採取をすることなく、常時サイロ内部の穀物層水分分布を把握するため、マイクロ波TDRによる測定方法を追求した。その結果、連続センサ、不連続センサを用いて水分むらの異常を検出できることがわかった。


(A8)

Radiation Power Distribution in Microwave Drying Chamber

T.DONG, Y.MIAO(Univ.of Tsukuba), Y.MIYATAKE(Shizuoka Works Co.Ltd)
C.FENG, S.YOSHIZAKI(Univ.of Tsukuba)

    Effects of the connection of microwave guide with drying chamber on micro wave radiation power density on drying bed were studied theoretically and experimentally. It was shown that the distribution of microwave radiation power density could be explained by the radiation pattern of open-ended microwave guide, and there was an effective heating region on the drying bed.


(A9)

バングラデシュにおける精米施設の現状

イスラムM.R.・木村俊範・清水直人(筑波大)・ファロウクS.M.(バングラデシュ農業大)

 バングラデシュにおける米の収穫以後損失と精米施設の現状認識を基に、その主要加工方法であるパーボイリングと精米技術の持つ技術的問題点や製造コスト等の面から検討し、高品質のパーボイルドライスの低コスト製造法構築のための基礎的事項を整理した。


(A10)

人間の畜舎内滞在強度の実態
−畜舎建築規制の緩和に向けて(1)−

干場信司・布施和昭・林淳子・森田茂(酪農大)

 牛舎・豚舎・鶏舎および付属施設等を対象として、人間の畜舎内滞在強度[(人・時間)/(50m2・年)]の実態を調査した。その結果、鶏卵選別・包装センターのみが、50m2当たり1人の密度で1日6時間滞在した場合の滞在強度(2190)より大きく、搾乳棟は同密度で1日2時間滞在した場合の滞在強度(730)よりも大きかった。その他の畜舎は、すべて730以下であった。


(A11)

畜舎における屋根雪滑落の発生条件について
−畜舎建築規制の緩和に向けて(2)−

苫米地司・高倉政寛(北海道工大)・干場信司(酪農大)

 本報告では、畜舎における積雪荷重評価に必要な滑雪現象の発生条件について既往の研究を整理して考察した。滑雪現象の発生には屋根葺材と屋根雪との間に発生する凍着抵抗力が大きく関わる。滑雪現象を考慮した積雪荷重の評価を行う場合は、この抵抗力を低減する指標について十分検討する必要があることを明らかにした。


(A12)

屋板雪滑落に影響を及ぼす外気温度特性について
−畜舎建築規制の緩和に向けて(3)−

高倉政寛・苫米地司(北海道工大)・干場信司(酪農大)

 外気温の推移状況から滑雪現象を捉え、その推移状況を統計学的に整理して温度条件を積雪荷重評価に取り入れるための検討を行った。その結果、外気温の推移状況と畜舎内の温度環境との関係を十分に把握することで滑雪現象を考慮した合理的な積雪荷重評価が可能であることが明らかとなった。


(A13)

畜舎用木質架構の水平加力実験
-畜舎建築規制の緩和に向けて(4)-

小川秀雄(神奈川大)・安村基(静岡大)・岡部実(ベターリビング)

 方杖付き架構の安全性の確認、及び外壁パネルの許容水平耐力を求めるための水平加力実験を行った。結果は、方杖付き架構の耐力は、方杖の付く柱部分に節等の欠陥が無い場合には設計耐力に対して最大耐力は約2倍程度あることが、また、畜舎で使用される断熱仕様の壁パネルにある程度の水平耐力が見込めることが確認された。


(A14)

フリーストール牛舎の床面乾燥法

池口厚男・本田善文(畜試)・加戊幹男(草地試)

 フリーストール牛舎では含水率の高いふん尿が通路に貯留しているため、牛の滑り事故、肢蹄病や乳房炎等の発生、ふん尿処理作業の負担増等の問題が生じている。そこで懸垂型送風機による牛舎床面の乾燥効果の実証を行い、送風機を床面に対して45゜に設置すると、設置しない場合の約1.8倍、90゜に設置した場合の約1.4倍の乾燥効果があった。また、地域別(帯広、宇都宮、鹿児島)の水分除去量と牛通路床面気流速、面積の関係を推察するためシミュレーションを行った。


(A15)

堆肥舎におけるコンクリート壁構造物の耐久性の実態

森山英樹・豊田裕道(農工研)・小川秀雄(神奈川大)・道宗直昭(生研機構)

 堆肥舎のコンクリート壁構造物は、通常の建築基準に準じて設計・建築されてきた。今回はコンクリートの鉄筋かぶり厚さに関して、腐食物質である堆肥との接触によるコンクリートの老朽化の影響を既存の堆肥合で調査した。調査した範囲ではかぶり厚さについては問題は無いものの、鉄筋の腐食を促進する高濃度の化学成分が見つかり、クラック対策が必要であることが分かった。


(A16)

放射伝熱に関する体重27kg豚の形態係数

蓑輪雅好(香川大)

 暑熱期においては体熱放散促進のために、周囲環境から豚体に入射する放射熱量を可能な限り抑制することが望まれる。本研究では豚体に入射する放射熱量を算定することを目的として、27kg豚のサーフィスモデル(6598個の三角形パッチで構成した3次元グラフィックスモデル)を用いて側面壁、正面壁、背面壁、天井面、床面に対する豚体の形態係数を豚体形状に基づいて数理解析的に求め、壁面に対する豚体の形態係数算定図を提示した。


(A17)

農村景観の評価に関する研究

瀬能誠之(筑波大)・荒井伸之(茨城県)

 優れた景観を保全し、よりよい景観を形成するために、景観の評価基準を得ることを目的に、景観の計量心理学的評価と景観構成要素について分析を行った。
 農業に関する景観は、それ自体が景観の質を乱すのではなくて、その状態を「視覚的」に見て、秩序がなかったり荒れていると感じた場合、その景観を好ましいものと感じないこと、農業以外の景観については、その存在そのものに好意的感覚を抱かないことが明らかとなった。


(A18)

排水路模型による生活廃水の硝化・脱窒プロセスの評価

藤田和男・楊継富(科学技術振興事業団)・張振亜・前川孝昭(筑波大)・中川力夫(茨城県)

 全長50mの排水路模型を用い、排水路での廃水の自浄作用の評価を試みた。平均滞留時間2日のときNH3-N除去率(初期濃度20mg/L)は20%であった。微生物固定化担体を添加した時NH3-N除去率は10%であり、硝化作用が促進された。脱窒が進行しなかった為T-Nは除去されなかった。TOC(初期濃度80mg/L)の除去率は80%であった。


(A19)

農業施設の評価方法に関する研究(10)
-酪農経営方針の変更に伴うエネルギー利用の変化-

村上博美・干場信司・森田茂(酪農大)・石沢元勝(酪農業)・池口厚男(畜試)

 経営収支と化石エネルギー投入量という2つの指標を用いて、11年間にわたる経営データを持つ酪農家を対象とし、自給飼料依存型から購入飼料依存型への経営方針の転換による2つの指標の変化を複合的に評価した。その結果、双方の指標とも約半分の減少がみられた。減少に関わる大部分が購入飼料によるものであった。


(A20)

農業施設の評価法に関する研究(11)
-北海道十勝の一酪農場に関する経済性、エネルギー、環境負荷による複合的評価-

猫本健司(ズコーシャ)・干場信司・上甑和夫・森田茂(酪農大)・池口厚男(畜試)

 前報(10)における2指標(経営収支,化石エネルギー投入量)に環境負荷を加え、3指標による複合的な評価を試みた。評価指標としては、「投入エネ所得比」、「窒素負荷所得比」、「窒素負荷投エネ(糞尿処理)比」などを用いた。


(A21)

寒冷地用堆肥化施設の開発
-強制結露による除湿-

向弘之(北海道農試)・佐藤義和(農林水産技術会議事務局)・福本昌人(北海道農試)・干場信司(酪農大)

 堆肥化施設を断熱して,発酵熱の施設外への放出を抑えることで施設内の気温を確保し、併せて堆肥から発生する水分を、寒冷外気を利用して施設内で強制的に結露させ、凝結潜熱を有効利用しながら除湿する仕組みを備えた寒冷地用堆肥化施設の開発に着手した。本報では、堆肥から発生する熱と水を温風ヒータと加温水槽で代替して行った実験での熱収支・水収支について報告した。


(A22)

中温メタン菌の担体への付着法の確立

新屋文隆・前川孝昭(筑波大)

 栄養塩類を天然高分子で包括固定した後、合成高分子を用いた2重の固定を実施した。35℃で馴養した酢酸を基質とするメタン発酵では、桿菌のMethanothrixや小荷物状菌のMethanosaricinaが優占種であることが走査型電子顕微鏡、原子間力顕微鏡により判明した。


(A23)

貯留式メタン発酵における温度依存性(1)
−回分試験による発酵特性の比較−

木村義彰・梅津一孝・高畑英彦(帯畜大)

 本実験は、高負荷連続式発酵槽より排出された脱離液および乳牛生糞尿を原料とした回分発酵試験を行い、中温から低温域のメタン収率の温度依存性を一般成長モデルを用いて明らかにした。供試モデルは脱離液の発酵温度5℃以外すべてに適応し、予測モデルとして有効であった。メタン収率は発酵温度20℃を境に低温域で著しく減少することが明らかとなった。


(A24)

貯留式メタン発酵における温度依存性(2)
−乳牛生糞尿を対象とする発酵特性の比較−

木村義彰・梅津一孝・高畑英彦(帯畜大)

 本実験は乳牛生糞尿を原料とした累積投入による貯留式メタン発酵実験を行い、その温度依存性を明らかにした。10℃以下の発酵温度では揮発性有機酸の蓄積が認められたが、42.5℃から15℃での発酵阻害は認められなかった。乳牛糞尿を原料とした貯留式メタン発酵は高い有機物分解率を示し、発酵温度15℃以上で可燃性バイオガスが回収できることが明らかとなった。


(A25)

貯留式メタン発酵における温度依存性(3)
−メタン発酵脱離液を対象とする発酵特性の比較−

本村義彰・梅津一孝・高畑英彦(帯畜大)

 本実験は高負荷連続式発酵槽から排出される消化脱離液の累積投入による貯留式メタン発酵試験を行い、その温度依存性を明らかにした。高負荷連続式発酵槽と消化脱離液の貯留式発酵槽を組み合わせた嫌気発酵処理システムは、メタン回収量および有機物の分解率が高く、さらに温室効果ガスの大気中への放散を抑える利点があることが明らかとなった。


(A26)

畜舎の臭気に関する研究(7)
-豚糞の含水率により変化するアンモニアの揮発率-

福重直輝・川西啓文・長島守正(日大)

 本研究は豚糞のアンモニア成分発生量を推定するため、豚糞の含水率により変化するアンモニアの揮発率CAの定量を行った。その結果、糞の含水率、経過時間、気温とCAの間には次の関係があった。(1)含水率(X)とCAは CA=1.18×10-4X+1.73×10-3、(2)経過時間(θ)とCA(20℃,24時間)は CA=0.0107e-0.015θ、(3)気温(X)とCA間は CA=1.7×10-4X + 1.25×10-2の関係が得られた。


(A27)

牛乳成分のオンライン計測に関する基礎研究

陳介余・伊豫知技・河野澄夫(食総研)
Keshab K.Batajoo・甘利雅拡・寺田文典・阿部亮(畜試)

 牛乳のオンライン計測技術を確立するため、近赤外透過法による牛乳の主要成分の測定を試みた。短波長領域の近赤外光、および光路長の長い試料セルを用いることにより、ホモジナイズすることなく牛乳の主要成分を高精度に求められることが明らかとなった。


(A28)

一群管理における個体管理システム(2)

加茂幹男(草地試)・池口厚男・本田善文(畜試)

 フリーストール方式における一群管理を前提に、共通採食エリアと試作した個体識別装置を組み込んだ個体別採食エリアを組み合わせた給餌システムの可能性について検討した。その結果、個体別採食エリアの栄養水準を共通採食エリアより高く設定する事により、個体別採食エリアを優先的に利用させる動機を牛に与えることが可能であったが、社会的順位の影響が顕著に認められた。


農業施設学会