乳汁の近赤外分光分析、特に、長波長域(1100−1800nm、2100〜2360nm)での分析により、乳牛の個体識別を行う手法について検討した。その結果、近赤外吸光度データの主成分与析(PCA)における主成分3,4では個体毎に成分値が集合する傾向を示し、個体識別が可能であるとの知見が得られた。一方、2次微分PCAの主成分3,4では各個体の成分値は分散する傾向を示した。
血液は、その成分が生体の栄養状態や健康状態などの影響を直接受けるため、生体の情報を得るための重要な情報源となっている。本研究では、近赤外分光法による乳牛の飼養管理システムの研究開発の一環として、乳牛血液の近赤外スペクトルに及ぼす飼料の影響を調べ、飼料の違いが乳牛血液の近赤外スペクトルに直接影響を及ぼすことを明らかにした。
現在、集卵場では白色卵の透光検査を行っているが、褐色卵については透過光の色と鶏卵内の血液の色が似ているために選別が困難となり、逆光検査を行っていない。そこで、近赤外分光分析法によって褐色卵の血卵を非破壊で検出する方法を検討し、76%の判別率を得た。
炊飯米の品質に影響を与える炊飯時の白米吸水過程の電気インピータンス測定によるモニタリング法について検討した。重量法と容積法の吸水率の測定値はよい一致を示し、容積法による吸水率測定の妥当性が示された。白米1粒子についてのインピーダンス値は吸水率が飽和に達する時間でほぼ平衡となる傾向を示し、電気的等価モデル解析による吸水率推定の可能性が示された。
未だ内部的な栄養成分による品質評価がなされていない葉菜類に近赤外分光法による内部ビタミンCの非破壊での検出を試み、その定量法について検討した。用いたコマツナは葉位によりビタミンC含量が大きく異なり、かつ同一の葉内でも先端部や周辺部と葉柄部ではビタミンC含量に差があるため、最適な測定部位を決定し、生育中のコマツナについての検量線を作成した。
日射量、気温、湿度などの環境要因から土壌水分の指標であるpF値の変動を予測し、ハウス内土壌水分制御を行った。収量調査の結果、慣行区と制御区の収量・品質は、ほぼ同様の値を示したことから、本システムは現場のハウスでも使用可能であることがわかった。
平成10年1月に、東北地方南部の太平洋側は大雪の被害に見舞われ、多くの園芸施設が積雪荷重により倒壊するなどの被害を受けた。その破壊挙動を明らかにして今後の雪害対策を得るために、地中押し込み式パイプハウスを中心とした施設の被災状況を把握する調査を行った。調査は被災施設の概況、被災断面の実測および聞き取り調査を行った。その結果、積雪荷重に対して施設の持つ幾つかの問題点が明らかになった。
熱交換器の台数や流量、暖房設定気温、温室規模などの関係を計算によって検討した。湯量が十分な場合、設定気温を高めるにはグリーンソーラの流量の増加よりも台数の増加の方が効果的であることが明らかとなった。また、揚温・湯量が定まっている場合、温室設置可能面積は設定気温の増加に伴って指数関数的に減少し、設定気温をできるだけ低めることが取得熱量を増大きせるという点でも有利であることが明らかとなった。
中高齢者の事故の発生率とその内容を把握することを目的にアンケート調査を行った。その結果、施設別にみて傷害率が最も高いのは畜産の56.9%であった。また、年齢別にみると畜舎では50〜59歳を除く年齢層において他の施設よりも高い値が示された。畜産の作業は休日がなく、休みたいときに休めないのが原因と考えられる。
茶園における晩霜害の被害は大きな経済的被害を与える。現在、一般的には地上6〜8mに設置された上空形ファンにより逆転層の比較的暖かい空気を吹き下ろすことにより防霜効果を得ている。しかし、このファンに対して種々の問題点が指摘され、最近、低位置に設置する水平送風ファンが開発された。送風が結露や結霜の発生に与える影響を検討した。また、実際の茶園において、両種ファンの防霜効果を計測した。
搾乳ラインの真空圧(ミルククロー内、パルセータライン、ミルクライン)、乳量等を測定しながら、各種搾乳条件をリアルタイムで制御できる搾乳実験施設を構築した。本施設では、ミルクラインの真空圧、パルセータラインの真空圧、4乳区の合乳の流量に基づいた離脱タイミング、拍動数、拍動比、拍動パターンをコンピュータで各ストール毎に独立して制御できる。
開発中の国産搾乳ロボットの装着性能を調査したところ、1回起動での装着成功率は85%であったが、乳頭の折曲がり検知等の機能を付加すれば95%程度に向上すると推測された。また、搾乳能率は6.5〜7頭/hであった。なお、全装着〜全離脱の時間は全滞在時間の76%を占めており、搾乳速度を高めることが搾乳ロボットの能率向上に効果的であると推測された。
堆肥が隔壁に及ぼす影響を建設後15年程度を経過した6棟で調査した。調査項目は鉄筋のかぶり厚さ、鉄筋の腐食状況、中性化深さ、全塩化物イオンなどの化学成分などである。堆肥のコンクリート中性化への影響は少なく、大気による中性化と同程度かそれ以下であった。また、全塩化物イオンは表面付近で大きいが、かぶり厚さ位置では限界値を下回っていた。
厩舎は廊下を中央に配置する両馬房型式のものが多かった。繁殖牝馬の馬房は3.6m×3.6mまたは4.5m×3.6mで、廊下は離乳準備期にクリープとして使用されていた。比較的規模の大きな牧場では分娩馬房(4.5m×4.5m)を設置していたが、中規模以下の牧場では飼養馬房において分娩を行うかたちを取っていた。馬房床は馬房中央マンホールに向かい3%傾斜をつけるように作られていた。
道東の一町村を対象として経済性、化石エネルギー利用および、窒素負荷の3つの評価軸より複合的評価を試みた。その結果、地域内における農家間差を見る事ができ、[窒素負荷/所得]比という複合的評価軸のもつ意義が明らかになった。
畜舎は軒部や棟部にスリット状の開口を設けたり、また、側面壁や妻面壁が無い事例も見られる。これらの開放度の高い畜舎独自の風力係数を風洞実験によって求めた。風洞実験は4種の屋根形状の全壁付きを基本とし、場合に応じて各部の壁の無い状態を再現し、合計82ケースについて行った。また、各ケースの風洞実験結果を構造骨組用の風力係数として整理した。
フリーストール・ミルキングパーラ方式移行時の牛舎建設費の低減を図るため、自家施工が可能なフレーム組み立て方式の簡易フリーストール牛舎を開発するとともに、搾乳牛13頭を収容して行動調査から牛床横臥の状況などを検討し、搾乳牛でも十分利用が可能であることを示した。
本研究では、酪農生産システムに投入されている化石エネルギーを総合的に評価するために、フリーストール牛舎を対象として、その建設時に投入されたエネルギー量を算出し、約4500[GJ]という結果を得た。この値は耐用年数を20年とした場合、1年当たりのランニングエネルギー量(道東地区H農協の平均)の9%となり、無視できる量ではないと考えられる。
個々の農家が新しくフリーストールシステムを横築する際に考えなければならない設計までのステップと個別技術の長所・短所の認識を支援する、コンピュータ対話型で、農家自身が繰作することのできるフリーストール牛舎設計支援システムを開発した。