筑波大学農林工学系
Institute of Agricultural and Forest Engineering, University of Tsukuba
会長として二期目を担当することを宇都宮大学農学部で開催された1999年度農業施設学会大会総会において承認されました。第一期目は、農業施設学会の学界における位置づけを見るだけに終始し、具体的な手を打てなかったことを深く反省しております。 本学会の運営においては、伊藤、藤野両副会長および河野庶務担当、鷹尾編集担当、相良事業計画担当、瀬能財務担当、小島研究推進担当の各理事および幹事らの活躍で農業施設学会は順調に活動が推進されました。本年度の大会における総会では藤野副会長および河野、相良、瀬能、佐瀬の各理事が任期満了で交替しました。本紙面を借りてその労に感謝いたします。
本年度の大会では創立30周年記念事業として、シンポジウム「新技術導入の歩みと将来展望」を開催しました。この大会では講演発表課題数86、シンポジウム課題22で講演数、参加者数が最高に達しました。これも宇都宮大学農学部の志賀大会運営委員長および運営委員各位のご活躍によるものと会員を代表して厚くお礼を申し上げます。さて、1999年は20世紀から21世紀へ移る重要な年であります。21世紀初頭におけるわが国の学界、教育界、1次産業から3次産業まで、さらには文化、芸術分野までその価値と位置づけの見直しを迫られていると言っても過言でありません。あらゆる分野の価値観の再構築を急ぐ必要があります。
わが国の農林水産業を見ても「WTO農業交渉」や「地球温暖化防止への義務づけ」など食料生産および環境保全に対するローカルおよびグローパルな対応が求められています。
大学においては「大学院教育の充実と大学院の重点化」や省庁統廃合に伴う「国立大学の法人化」の問題がとりざたされ、既に法人化が決定した国立研究機関との連携にも目を配る必要があります。また大学における教育面では、入学する学生の質の低下に対応するために目標を持たせた教育の設定が必要で、学術の多様性と自由度の確保を図りつつ、学生に具体的な方向性を示す必要があります。
これらに対処するために「国際的に通用するエンジニア(グローバルエンジニア)教育検討委員会」の設置を日本工学教育協力会および日本工学会が共同で提案しています。この中では、学術に関する教養・教育、技術者倫理、コミュニケーション能力、学術の応用能力、自己学習能力、社会ニーズ対応能力、自己管理能力の付与を図ることを目標としています。グローバルエンジニアまたはプロフェッショナルエンジニア(PE)の認定には学協会が当ることが考えられています。大学は認定については「される側」に立たされますが、学協会の大多数が大学の教育に携わっているので、この動向に注意を払っていく必要があります。ところで、第一期目の会長就任挨拶では、農業施設学は「空間の機能化」であることを指摘しました。20世紀から21世紀への移行期にどうしても考えねばならないことは、人口問題、食料生産、環境保全、資源・エネルギの4つのキーワードであります。
農業施設学は食料生産、環境保全、資源・エネルギの3つのキーワードが中心課題であります。これらのキーワードを「人類の持続可能な社会の発展とその構築」のために「空間の機能化」の学術活動の中でいかに組合せ、発展させるかが農業施設学会にとって重要であると思います。
さらに、農業施設学会は流通施設部門でも大きな貢献を果たしております。品質保持や品質管理、品質評価に優れた業績を残し、実社会に貢献しております。流通施設は生産者から消費者への物流とそれに伴う情報の流れを持たせていることを考えると、農業施設学は「空間の機能化」に「情報化」を加えることで時間の要素および農業施設内外の空間の情報をも組込むことになるので、環境や資源・エネルギなどのキーワードが無理なく納められる学問として位置づけることができると考えられます。
この「空間の機能化と情報化」を農業施設学に位置づけるとすると、昨今世間をにぎわしている「遺伝子組換え農産物の流通」や「環境ホルモンなどの食品の安全性の確保」なども当然、視野に入ってくると同時に、本学会の研究推進委員会が答申した学会名の改正も今期に議論する必要があると考えられます。上述の考え方に基づいて第二期の会長職として、新理事会には新しい提案をしました。その骨子は「食料生産と環境保全」を当面の視野に入れ、それに対する学会名の改正と雑誌の増刊の検討を必要とするということです。
第1期の反省を含めて新理事会に提案した内容は以下のとおりです。
1)庶務委員会
ア〕今期の活動改革に伴い、各委員会の審議の動向を掌握するとともに会則等の改正を検討する。
イ〕連絡文書の電子化を積極的に図る。
ウ〕理事の活動を支援する。
2)財務委員会
ア〕資産管理を複式簿記化する。
イ〕会員管理を徹底し、編集委員会との連携を密にする。
ウ〕広告事業の拡大ならぴに庶務委員会との連携を強化する。
3)編集委員会
ア〕活動範囲の拡大に伴い、年6号出版を検討する。
イ〕電子化を図り、編集事務の軽減を図る。
ウ〕出版補助金等の申請により出版費用の軽減を検討する。
4)事業計画委員会
ア〕大会、シンポジウム、研修会、海外シンポジウムの企画立案。
イ〕関連研連、日本農業工学会、日本農学会の動きに連動した長期展望を立てる。
ウ〕常任理事以外の理事を担当にして活動する。
5)研究推進委員会
ア〕2つの研究分野 1.農業施設(食料システム)、2.食料生産環境での所掌事項の検討を行う。
6)学会賞委員会
ア〕積極的に会員を表彰する。
イ〕学術賞、技術賞も学会事業の2部門と合わせて検討する。
ウ〕若手を積極的に表彰する。PE特別委員会の設置
学会の財政が豊かでないので、本学会の体力と相談しながら広く議論を重ねて良い結論がでることを期待します。
なお、グローバルエンジニアヘの対応は、 PE特別委員会の設置を会長の判断で新理事に承認してもらい、総会で承認を得ましたことを付記いたします。