宇都宮大学農学部
Faculty of Agriculture, University of Utsunomiya
このたび会員の皆様のご推挙により農業施設学会の会長をお引き受けすることになりました。学会舵取りの責任の重大さを痛感いたしておりますが、会員の皆様のご支援をいただいて微力ながら努力して参ります。よろしくお願い申し上げます。
本学会は、これまで前川前会長の積極的な運営のもとに学会活動は順調に進展して参りました。学会会員数増加の取り組み、シンポジウム・研修会の開催、海外研修などの国際交流事業、境界分野での関連学会との交流などを図った結果、ここ数年、学会、シンポジウムにおける研究分野の拡大及び講演数、参加者数の増加などに見られるように着実に活動が拡大しております。これからも基本的には前会長が図ってきた学会活動の基盤を受け継ぎながら更なる発展を期したいと存じます。
さて、21世紀を迎え、農業を取り巻く状況は激しさを増す一方です。日内にあっては生産の担い手の減少及び高齢化による生産力の低下が見られる反面、流通業者による商品の差別化、コスト削減、安定供給の要求、消費者の安全、健康志向などを含んだニーズの多様化、さらには環境に負荷を与えない循環型農業システムヘの期待など、生産、流通、加工の各分野に関連する課題が指摘されます。一方国際的には、世界質易械構(WTO)における農産物流通の自由化、セーフガード発動に象徴される国際競争力の低下、地球温暖化への対応など農業のグローバル化への対応は緊急の課題となっています。
農業施設学は、限られた生産適地の中で環境保全を図りつつ食料を供給するため、単に生産そのものだけでなく、生産物の保全、加工、流通の各段階を通じて生産施設管理と、環境制御システムの構築を研究基盤とするものであり、上に述べた課題に対応するため農業施設学が果たすべき役割はますます大きくなっています。新しい食料・農業基本法においても高付加価値化農業の構築を提言しており、生産から消費に至る施設、装置システムの研究・開発を担う農業施設学が貢献する分野が大きく開かれています。
現在農業施設学分野は、本学会発行の農業施設ハンドブックに示されるように、穀物関連、園芸、畜産及び流通施設の大きなマトリックスを、計測・制御、情報化の新技術でカバーする研究分野に発展してきています。さらに最近の本学会での投稿論文、講演発表などを見るまでもなく畜産廃棄物、バイオマスの再利用・資源化など環境保全、省資源・省エネルギに関する課題が多く取り上げられており、環境に配慮した食料生産施設の研究・実用化が本学会の重要なキーワードとなっています。また農業施設学は生産者、消費者を含め大学、試験研究機関、団体及び企業がそれぞれの役割を担いながら現場での成果をめざす実学です。農業・食料生産現場に貢献できる実用的な研究、開発をめざして、農業施設学会が会員相互の成果発表、交流、成果の現場への還元の場となるよう活動して行かねばならないと考えています。
今期の活動につきましては.今後理事会及び各委員会で検討していただき順次実行に移して参りますが、思いつくまま課題を挙げ、抱負に代えさせていただきます。1.専門的研究レベルの充実
本学会の研究分野の拡大に伴い全体的な大会のみでは十分な専門分野の情報交換が困難になりつつあります。上述した研究分野ごとの討論、意見交換の場として分野別分科会、小シンポジウム、プロジェクト活動などの場を設け、それぞれの研究分野の充実を図っていきます。
2.会員の拡大、特に若手会員の入会促進
本学会の会員数はここ数年わずかに減少傾向にあります。各分野の研究レベルを上げ、活発な研究を促進するために特に若手会員の拡大が肝要です。積極的に大学院、学部学生や関連企業、団体の若手研究員に発表、意見交換の場を提供し、組織化する方策を検討します。また積極的に若手研究者の投稿を促し、表彰などにより活躍の場を保証します。
3.プロフェッショナルエンジニア(PE)の育成
国際的に認められる農業施設技術者を育てるプロフェッショナルエンジニア(PE)(農業環境工学関連分野)の認定に学会として積極的に対応し、農業施設関係技術者の育成をサポートします。今期の理事、幹事はこれまで本学会運営に深く関わってきて経験、実力ともに十分な方たちです。これら役員とともに学会の発展に全力を早くしますので、重ねて会員の皆様の積極的な学会活動への参加と、ご支援をお願い申し上げる次第です。