農業施設18巻3号
1988.3,49〜57
論文:

搾乳設備の異常が乳房衛生に及ぼす影響(英文)

市川忠雄・野附巌・青木康弘・市川意子・藤沢通

要 旨

 ミルカーの真空度、拍動波型および真空度・拍動波型の両方を異常とした場合の乳房衛生に及ぼす影響を、乳中体細胞数(SCC)および電気伝導度(EC)を指標として調べた。真空度異常は通常の真空度を5cmHg高くした40cmHg高真空度で、拍動異常は拍動比と移行速度を変化させた異常波型で、真空度・拍動異常は両者を同時に異常としてそれぞれ3週間搾乳した。実験は、筑波大学農林技術センターで搾乳するホルスタイン種15頭(延べ42頭)を使い、真空度異常、拍勤異常、真空度・拍動異常の順で行った。各実験の前にそれぞれ10日間の前対照期(C期)を、後に実験の影響が少なくなるまでの回復のための後対照期をとった。試料はC期中に2〜3回、実験期は毎週2日連続して午後搾乳時に前搾り乳を採取して、SCCは Fossomatic で、ECはECメータで測定した。また、各分房の感染状況を知るため、各期の終わりに2日連続して採取した資料について菌数ならびに菌種同定を行った。データの解析は、(1)3回の実験に共通して供試した11頭43分房について、主要病原菌感染の有無およびC期のSCCレベルに基づいて4区に分け、各期ごとに分散分折を行った。(2)次に、全供試牛15頭59分房について、枝別れ分類による分散分析を行った。
 SCCは、真空度異常の感染分房区と低細胞分房区において、処理期はC期よりも有意な増加を認めた。また、真空度・拍動異常では細胞数20〜50万の分房区を除いたすべての分房区において有意な差が認められた。しかしながら、拍動異常ではいずれの分房区にも差が認められなかった。一方、ECは真空度・拍動異常のときの感染分房区に有意な上昇を認めたが、それ以外には差が認められなかった。次に、枝別れ分類による分析結果についてみると、SCCは真空度異常においては分房間に、拍動異常および真空度・拍動異常においては個体間および分房間に有意な差が認められた。ECは、どの処理においても個体間に差が詔められたが、分房間には差が認められなかった。
 以上のように、搾乳設備の異常はSCCに対しては分房間にも個体間にも有意な差がみられたことから、乳房ヘの悪影響は明らかであり、ミルカーの保守点検の必要性が再確認された。


農業施設学会