要 旨
家畜糞などの有機物の堆積層へ下面から通気して発酵乾燥させる過程での熱と物質との移動現象を、推定計算する手法を確立した。比較的小型な実験装置によって、堆積層内の各層毎の通過空気温と品温とを別々に計測した結果を基とし、各層の気温と品温の上昇に必要な熱量と、各層を通過する気体が常に飽和湿度にあるとしたときの水分蒸発に必要な熱量との合計値は、該当層内での発酵つまり乾物減少に伴う発熱量と収支が合うとして、乾物減量と水分減量とを推計した。そのとき、層周囲と上面からの熱貫流の影響を補正すると、計算値は実測の総重量減に良く一致したので、推定計算の信頼性は保証できたと認められた。また、実験終了後に層別に試料採取して計測した含水率・灰分率と比較した結果、この計算値の方が妥当値とみられるほどだった。この推定計算法によって、発酵乾燥過程にある堆積層内の各種物性値(乾物減少量すなわち発酵量、発酵速度、含水率、蒸発水分量など)の経時的変化を層別に詳細に求めることができるようになったので、その結果から多くの知見を得た。さらに今後の研究進展によって、発酵乾燥の最適条件などを確定できるようになるものとみられた。