要 旨
用水、肥料の循環再利用を考慮した、水生動物と植物の複合栽培システムを構築するための基礎的項目として、システムの構成要素、施設の温度条件、養殖体に適する用水処理法、養殖用水の肥料成分特性について検討した。本システムは、魚類養殖槽と植物栽培槽との間に、養殖体の排泄物等によって生じるNH4+を微生物により硝酸化する水処理過程を設けた構成である。養殖槽、バイオフィルター槽の水温は年間を通して適正温度に維持できた。しかし、植物栽培側の最高気温は35℃以上になる場合が生じ、その対策が必要と考えられた。養殖体の生育に影響を及ぼすNH4+、NO2-の硝酸化を行う硝化菌の繁殖には当初45日を要したが、それ以後は養殖用水中にNH4+、NO2-は検出されず、養殖側での用水の循環利用が可能になった。そして、水処理過程における養殖用水中の肥料成分濃度の経日変化は、一次式に回帰できた。この回帰式を基に試算した85日後の養殖用水の肥料成分組成は、pH補正にKOHを用いた場合、植物培養液と同様になった。しかし、肥料成分濃度は一般の植物培養液に比べ非常に薄いため、今後、養殖用水の濃縮法の究明が課題と考えられた。