要 旨
メタン発酵システム開発のための基礎資料を得る目的で、ベンチスケールの流動床型メタン発酵槽を試作し、その処理特性の検討を行った。その結果、メタン菌の失活なく流動床循環系の閉塞も起こさない良好なスタートアップを行うためには、嫌気に近い状態で目開き2mm径メッシュでスクリーニングを行った消化汚泥を用いればよいことがわかった。続いて合成廃水の処理実験から、流動床型メタン発酵槽は、在来型メタン発酵槽と比較して菌体保有量が10倍以上高く、pHおよびガス発生量が安定していることを確認した。基質除去率80%以上を達成した処理系においては、汚泥滞留時間(SRT)が12日以上確保されており、流動床型メタン発酵槽は、菌体を高濃度に保持して槽内に長時間滞留させることにより、高い基質除去能力を発揮するものであることが判明した。また豚糞尿上澄液による予備的処理実験においては、最大負荷6.46kg-VS/m3・dの操作で、二相式メタン発酵法を上回る72%のVS除去率と0.75m3/kg-VSのガス収率を得た。
以上の結果より、流動床型メタン発酵槽は、良好なるスタートアップを行い菌体を高濃度に滞留させれば、有機物の分解・除去に優れていることがわかった。キーワード:メタン発酵, スタートアップ, 菌体濃度, SRT, 基質除去率, 豚糞尿廃液