農業施設24巻2号
1993.9,85〜92
論文:

メタン発酵システムの設計・開発に関する研究(3)
−菌体の高濃度滞留型メタン発酵槽による廃水処理−

北村豊・前川孝昭

要 旨

 メタン菌を発酵槽内に高濃度で滞留させるためのUF膜分離装置と固定床ろ材を取付けたメタン発酵槽を新規に試作して、麦焼酎蒸留廃液を原料とする実験を行った。予備実験において、原料のC/N比が低いことから発酵槽内に生成・増加するNH4+が菌体濃度を減少させて、消化ガス発生速度が不安定になることが示された。改良実験1では、発酵槽内に生成するNH4+を希釈・排出するために水で1.6倍に希釈した原料の投入を行ったが、NH4+の増加によるメタン発酵の阻害は回避されなかった。水による原料の希釈倍率は、取付けたUFの透過能力に限界があったことから1.6以上に設定することはできなかった。改良実験2では、NH4+増加の一因と考えられる菌体の死滅・分解の低減化を図る目的で、pH値を中性域に調整した希釈原料を投入した。その結果、槽内の菌体濃度の増加とNH4+濃度の維持が認められ、HRT9.6日、LVS5.8kg-VS/m3・dの操作条件において、0.5m3/kg-VSの消化ガス収率と80%のVA除去率を得ることができた。また単位菌体当りのNH4+濃度と消化ガス発生速度の関係から、菌体の高濃度の滞留化が消化ガス発生速度の維持・安定化、すなわち阻害性物質による発酵阻害の回避に有効であることが示された。

キーワード:メタン発酵, 焼酎蒸留廃液, C/N比, 菌体濃度, 限外ろ過膜分離,アンモニア, 水希釈, 比アンモニウム濃度, pH


農業施設学会