農業施設26巻3号
1995.12,161〜169
論文:

経年利用によるハウス土壌の物理化学的劣化とその対策
−pH,ECおよび溶存イオン含量の変化について−

山口智治・安部征雄・杉本和彦・横田誠司

要 旨

 園芸ハウスの土壌の多くは、継続的長期栽培での過剰施肥や被覆材による降雨遮蔽型環境条件下におかれる故にその物理性の悪化、化学性の変化、とりわけ塩類集積を典型とした障害など、いわゆる土壌劣化の過程にある。
 本報では栽培環境の改善の方策を探るため、まず栽培利用経過年数を異にする3種のハウス土壌について土壌環境の差異を明らかにした。特に土壌のpH、電気伝導度(EC)および溶存イオン含量などハウス土壌の化学性の変化について測定分析を行った。栽培利用年数9〜24年のハウス土壌において、極表層のpH、ECは、それぞれ、4.0〜4.4および1〜3.2mS/cmであり、相当量の塩類集積状況が認められた。土壌中の溶存陰イオン含量は、SO4-2>NO3->Cl-の順で、陽イオン含量はCa2+>Mg2+>Na+>K+の順で多く存在し、各イオンともいずれも上層ほど含量が多かった。また、利用年数が長くなるにつれ集積の傾向を示した。土壌ECおよび溶存イオン含量の時系列解析から、各々の年変化量が求められた。

キーワード:ハウス土壌, 土壌劣化, 塩類集積, pH, EC, 水溶性イオン含量


農業施設学会