農業施設27巻4号
1997.3,217〜224
論文:

PLS回帰分析を用いた近赤外分光法によるナシ果汁の各構成糖含有率測定

田中宗浩・小島孝之

要 旨

 本研究は、近赤外分光分析法による日本ナシ果実の生育診断へPLS回帰分析を適用する際の基礎的な知見を得るために、生育過程における日本ナシの果汁中の構成糖含有率測定における解析法としてPLS回帰分析を用い、説明変数となる潜在因子の帰属性を負荷量ベクトルにより検討した。
 PLS回帰分析の結果、5〜11個の潜在因子からなる検量モデルを得た。これらの相関係数(R)は、蔗糖:0.96、ブドウ糖:0.90、果糖:0.99、ソルビトール:0.99であった。また検量モデル評価時の標準誤差は、蔗糖:0.21、ブドウ糖:0.17、果糖:0.19、ソルビトール:0.31であった。
 各検量モデルにおいて1番目に使用される潜在因子には、水に関する情報が集約された。2番目以降の潜在因子の負荷量ベクトルには、糖顆の吸収帯に多くの重みが確認されることから、これらには糖類に由来する情報が集約されたことが示唆された。これより、近赤外法によるナシ果実の生育診断には、PLS回帰分析が有効な解析手法であることが確認された。

キーワード:近赤外分光分析法, 日本ナシ, 果汁, 構成糖, PLS回帰分析, 潜在因子, 負荷量ベクトル


農業施設学会