農業施設28巻2号
1997.9,61〜68
論文:

井水散水による温室の冷房法(1)
−夜間冷房の熱負荷解析−

小林有一・志賀徹・藤重宣昭・齋藤高弘・伊庭慶昭

要 旨

 夏期の温室の効率的な環境制御法を開発する一環として、イチゴの夜冷育苗処理用の簡易冷房システムの開発を試みた。冷房源として地下水の顕熱を利用した密閉型のウォーターカーテン細霧冷房方式ハウスを考案、試作し、ハウス内の気温に及ぼす外部環境(外気温、地下水温度、地温、散水量)の影響を解析した。この結果、ハウスの夜間冷房にはハウス密閉、散水開始時の初期熱負荷が極めて大きく、特にハウス内気温の低下に伴う空気中水分の凝縮熱負荷が大きな熱負荷になっていることが判明した。また外部環境が安定した夜間においては屋根面からの貫流熱負荷が主要な成分であった。本システムは密閉時の初期熱負荷等の過大な熱量除去にも迅速に対応し、散水による冷房法として有効であった。ハウス内気温の制御を行うため、外気温、散水温度、地温及び散水量が内気温に与える影響を重回帰分析により回帰し、回帰式を用いた地下水散水によるハウス内気温の最適な調節法を明らかにした。この制御によってイチゴの最適な夜冷育苗管理ができるとともに、散水量を抑制する省エネルギ的な利用が可能となり、より普及性の高いシステムであることを示した。

キーワード:温室冷房, 井水散水, 夜冷育苗, 熱負荷解析, 温度制御


農業施設学会