農業施設28巻4号
1998.3,225〜232
論文:

ロックウ−ルを用いた固定床メタン発酵槽と完全混合メタン発酵槽の特性比較

李文奇・前川孝昭・張振亜

要 旨

 ロックウ−ルを0.8L入れた液容積2.5Lの固定床メタン発酵槽と完全混合メタン発酵槽を用いて酢酸を基質とする合成廃水による35℃の中温メタン発酵実験を酢酸負荷や希釈率をそれぞれ同一とする実験を実施し、ロックウ−ルを担体とする固定床メタン発酵槽と完全混合メタン発酵槽の特性を比較した。
 固定床メタン発酵槽の酢酸の除去率は酢酸負荷 2.5(g/L・day)の運転条件の時、希釈率2(1/day)まで85%以上であった。固定床メタン発酵槽の菌体密度及び希釈率0.2から2(1/day)までのメタン生成速度は希釈率 0.2(1/day)の完全混合メタン発酵槽のものより高かった。固定床メタン発酵槽では水理学的平均滞留時間 1(day),酢酸負荷 5(g/L・day)の運転条件の時および完全混合メタン発酵槽では水理学的平均滞留時間5(day),酢酸負荷5(g/L・day)の運転条件の時の各々の発酵槽の菌体密度は、それぞれ13.5,3.3(g/L)となった。また、酢酸負荷5(g/L・day)の時,希釈率を0.06から1(1/day)まで増加させた場合、固定床内部の液体に滞留する平均菌体密度は11.3から13.5(g/L)まで増大した。一方、完全混合メタン発酵槽内の菌体密度は希釈率を0.06から0.20(1/day)まで増加させた時、3.1から3.3(g/L)まで増大した。固定床メタン発酵槽の担体として用いたロックウ−ルの色は実験終了時点で黒変していたが、変形や損壊などが観察されず、安価でかつ耐久性にも優れた固定床材料と考えられた。

キーワード:酢酸資化メタン菌, メタン発酵, ロックウ−ル, 担体, 固定床


農業施設学会