農業施設30巻4号
2000.3,365〜372
論文:

積雪寒冷地域における畜舎施設の建設コスト分析

小林敏道・苫米地司・干場信司

要 旨

 本研究では、積雪寒冷地域に建設される畜舎施設を対象とし、1997年3月に制定された畜舎設計規準に基づいて設計した場合の建設コストについて検討を行った。積雪寒冷地域で畜舎を計画する場合には、温暖地域に比べて外力として加わる積雪荷重と基礎構造の設計に用いる凍結深度が大きくなる。これらの積雪荷重および凍結深度の差異が建設コストに与える影響を、平屋・切妻屋根の鉄骨構造畜舎を対象として分析した。対象とした畜舎は北海道内で一般的に建設されている畜舎をモデル化したものである。50kgf/m2ごとに400kgf/m2まで変化させた積雪荷重と、400mmから1,200mmまで200mmごとに変化させた凍結深度を組み合わせた設計条件で構造設計を実施し、畜舎施設における建設コストの大部分を占める躯体工事費を積算した。積算は、躯体工事である土工事、鉄筋工事、型枠工事、コンクリート工事および鉄骨工事について行った。垂直最深積雪量が1m以上の多雪区域における躯体工事費は凍結深度を一定とした場合、積雪荷重100kgf/m2の増加にともない約8%増加する。また、積雪荷重を一定とした場合、凍結深度200mmの増加にともない約6%増加する。さらに、いずれの場合も土工事、鉄筋工事、型枠工事およびコンクリート工事の基礎工事にかかわる総工事費が躯体総工事費の50%以上を占め、凍結深度が深くなるとともに基礎工事費の占める割合が増加する傾向が明らかになった。

キーワード: 畜舎施設, 建設コスト, 積雪寒冷地域, 積雪荷重, 凍結深度


農業施設学会