農業施設30巻4号
2000.3,383〜394
論文:

高温高湿貯蔵をうけた大豆子葉の粘弾性

オランゴN.K.オジジョ・木村俊範・清水直人・小疇浩

要 旨

 HTC(hard-to-cook)を促すため新鮮な大豆粒を30℃/79%(温度/湿度)の条件で貯蔵した。応力緩和や緩和時間の分布(Alfrey's近似法)を用いて貯蔵大豆子葉の粘弾性を解析した。生のままの子葉と吸水した子葉の緩和挙動が3つのマックスウェル要素と弾性要素で、対照区の吸水した試料が1つのマクスウェル要素と弾性要素で記述されることを確認した。それぞれのモデルの緩和時間(τ1、τ2、τ3)が、生のままの子葉については貯蔵日数とともに急激に減少したが、吸水した子葉では増加した。Alfrey's近似を用いてτ1、τ2、τ3に対応する3つのスペクトルが重ね合わされた緩和スペクトル分布が全ての試料で得られた。生のままの子葉では、応力緩和が主に緩和時間τ1で特徴づけられ、緩和スペクトルは貯蔵日数とともに緩和時間の分布幅が狭くなり、分布が全体的に左側に移動した。吸水した子葉では、分布の主体がτ2によるものであり、分布の幅は貯蔵期間が長くなると狭くなり、分布が右側に移動した。吸水した子葉において緩和機構の特徴を表すτ1が貯蔵とともに著しく増加した。これは5ヶ月間の貯蔵期間でそれらのτ1分布の幅が大きくなったためである。これは貯蔵で促進される緩和に影響する構造的型式が強くなることを示唆している。こうしたHTCが大豆子葉の粘弾性に及ぼす影響は子葉の細胞壁の構造変化に関係いることから、応力緩和試験を生の大豆子葉における状態の変化の測定に活用できることを示した。

キーワード: 豆類, 大豆, 貯蔵, HTC, 粘弾性, 応力緩和, 緩和時間


農業施設学会