農業施設31巻4号
2001.3, 215〜224
論文:

NAD(P)Hを用いたメタン発酵リアクタのオンラインモニタリング

井原一高・前川孝昭

要 旨

 メタン発酵リアクタの安定性は、リアクタ内の微生物、とりわけメタン生成菌に強く依存する。リアクタの破綻を避けるためには、微生物群の活性状態を反映する直接的なパラメータが必要である。メタン生成菌の代謝経路に関与しているとされるNAD(P)Hに着目し、蛍光プローブを用いてオンライン測定を行った。メタン生成速度と比較し、その有効性を考察した。基質を酢酸とする合成培地を用いて運転を行ったところ、メタン生成速度が低くリアクタが安定していないスタートアップ時では、NAD(P)H濃度は高く、その変動は大きかった。スタートアップ後32日後にメタン生成速度が安定し、リアクタが定常状態に達したと考えられるときには、NAD(P)H濃度は低く、その値は安定していた。有機物負荷を増大し、リアクタを過負荷の状態にさせたところ、メタン生成速度が低下し、その後にNAD(P)H濃度の上昇がみられ、値の変動が大きくなった。NAD(P)Hによる蛍光モニタリングはリアクタ内に存在する微生物の状態を反映する能力があることが示唆された。

キーワード: オンラインモニタリング, 過負荷, メタン生成速度, メタン発酵リアクタ, NAD(P)H蛍光プロープ


農業施設学会