農業施設31巻4号
2001.3, 225〜231
論文:

生分解性ゼインフィルムの選択ガス透過特性

吉野智之・五十部誠一郎・前川孝昭

要 旨

 トウモロコシ種子蛋白質ゼイン(zein)を含水有機溶媒(80%エタノール溶媒もしくは70%アセトン溶媒)に加温溶解し、種々の乾燥条件において、キャスティング法を用いてゼインフィルムを作製した。ゼインフィルムは透明性が高く、作製条件により、膜厚が30〜70μmの範囲で制御が可能であった。ゼインフィルムの酸素と二酸化炭素の透過係数を測定し、その結果酸素透過係数は、エタノール系ゼインフィルムの6.5pmol・m/(s・m2kPa)が最も低く、アセトン系ゼインフィルムの303.3pmol・m/(s・m2kPa)が最も高かった。一方、二酸化炭素透過係数は、エタノール系ゼインフィルムの1.Opmol・m/(s・m2kPa)で最も低く、アセトン系ゼインフィルムの1541.0pmol・m/(s・m2kPa)で最も高かった。また、アセトン系ゼインフィルムにおいて、作製時の乾燥湿度を変化させることにより、酸素透過係数303.3pmol・m/(s・m2kPa)、二酸化炭素透過係数30.6pmol・m/(s・m2kPa)というように、酸素・二酸化炭素の選択ガス透過性のあることが認められた。この選択ガス透過性は、測定温度5〜35℃の範囲において、維持されることがわかった。以上より、ゼインフィルムの作製条件を制御することで、種々の透過係数のゼインフィルムが作製でき、特に、選択ガス透過性という特殊機能を有する生分解性ゼインフィルムが容易に得られることが明らかになった。

キーワード: ゼイン, 生分解性フィルム, 酸素・二酸化炭素透過係数, 選択ガス透過性


農業施設学会