要 旨
畜舎設計規準では、滑雪現象の発生に関わるいくつかの条件を前提に年最大7日増分積雪深から設計用積雪荷重を算出することができるようになった。しかし、現状では、この条件を満たすための屋根葺材、屋根勾配等の具体的な提示が不十分な状況である。本研究は、畜舎施設に用いられる屋根葺材の多様化を考慮して、種々の屋根葺材を対象とした滑雪実験を実施し、その結果を基に畜舎施設における滑雪特性と設計用積雪荷重との関係を検討した。本実験結果から、屋根葺材の撥水性を示す接触角を指標とした滑雪現象の発生条件を得ることができた。内部暖房を行わない状況での屋根勾配と滑雪との関係は、接触角が65°前後の丸波塗装鋼板およびFRPを屋根葺材に用いる場合は、勾配3/10以上を確保することが必要で、接触角80°前後で撥水性の高いフッ素フィルムやC種膜材等を屋根葺材に用いる場合は、勾配2/10まで低減が可能となる。家畜の飼育密度が十分にある畜舎施設では屋根葺材裏面温度が高くなるため、前述の屋根勾配よりも低い勾配で滑雪現象が発生すると考えられる。このことから、畜舎施設における設計用積雪荷重は屋根葺材の撥水特性に加えて家畜の飼育密度などの営農形態を考慮した評価も必要となる。キーワード: 畜舎施設, 設計用積雪荷重, 滑雪, 屋根勾配