農業施設33巻1号
2002.6, 45〜52
論文:

個別農家用バイオガスプラントのエネルギー的評価

菱沼竜男・干場信司・森田茂・塚田芳久・天野徹

要 旨

 本研究ではバイオガスプラントの代替エネルギーの生産性を明らかにすることを目的として、産出されるエネルギーだけでなくバイオガスプラントの建設から運転までに投入される化石エネルギーに着眼した総合的なエネルギー的評価を行なった。
 酪農学園大学バイオガスプラントを評価対象とし、そこに投入される化石エネルギーは、初期投資エネルギー、運転エネルギーおよびメンテナンスエネルギーとした。また、産出されるエネルギーは、電気や熱として産出される利用可能エネルギーと消化液の化学肥料等価エネルギーとした。これら、投入化石エネルギーと産出エネルギーからエネルギー的償還年数を算出した。また、酪農学園大学バイオガスプラントを基に個別農家用バイオガスプラントを想定して同様の評価を行なった。
 結果として、酪農学園大学バイオガスプラントにおけるエネルギー的償還年数は、利用可能エネルギー(電気や熱)のみの場合でおよそ59年、消化液の化学肥料等価エネルギーも考慮した場合でおよそ15年であった。また、個別農家用バイオガスプラントでは、利用可能エネルギー(電気や熱)のみの場合でおよそ7年、消化液の化学肥料等価エネルギーも考慮した場合でおよそ3年であった。したがって、バイオガスプラントにおいて産出される利用可能エネルギー(電力や熱)による建設、運転そしてメンテナンスに要する化石エネルギーの償還の可能性は、施設の簡素化によることが明らかとなった。また、消化液の肥料としての有効利用が化学肥料節減につながり、エネルギー的に大きな影響をもたらすことが明らかとなった。

キーワード:バイオガスプラント、エネルギー、評価、ふん尿処理施設、償還年数


農業施設学会