農業施設33巻2号
2002.9, 103〜111
論文:

キトサンによる生物処理排水中の有害重金属に対する電気化学的除去

荘坤遠・C.P.ノーマン・杉浦則夫・馮伝平・前川孝昭

要 旨

 キトサン膜を用いて農場排水から六価クロムを除去する電気化学的プロセスを調査した。厚さ15μmから25μmのキトサン膜で仕切った処理チャンバに、六価クロムを加え濃度50mg/Lとした農場排水、また純水に六価クロムを加え200mg/L及び50mg/Lとしたモデル溶液を満たして実験を行った。農場排水とモデル溶液について行った各実験では、13時間にわたって12Vの電圧をかけた。全ての溶液において、98%以上の六価クロムが除去された。
 キトサン膜は吸着と還元という二つのポテンシャルを持っている。電気的プロセスにおいては、金属カチオンは水酸基とともに水酸化金属を形成することで沈殿し、金属除去の効率を低下させる。このように電気化学的手法では、いまだ解決すべき問題を残すものの重金属除去における多くの利点を持っている。本研究ではイオン選択性の膜を用いることで、水酸化金属の沈殿問題を解決しようとした。
 さまざまな電気化学的リメディエーション手法と比較して、電気化学的処理とキトサンによる吸着を組み合わせた手法は、その単純性、コストの低さ、イオン除去効率の高さや実地の運用における簡便性など多くの利点をもたらすものである。また、キトサンは吸着した金属を水やアルカリ性溶液によって抽出することで、再利用可能である。この研究では、キトサンは農場排水からの六価クロムの除去に関して有効であることが判った。

キーワード:重金属、農場排水、六価クロム、キトサン、電気化学


農業施設学会