要 旨
日光温室とは、中国北部で広く使用されている省エネルギー型温室である。このタイプの温室は、透光面は南面のみであり、北・東・西は固体壁となっており、これら壁体および土壌の蓄熱・放熱作用とフィルム面を覆う保温カーテンによって、冬季においても無加温もしくは簡易な暖房設備のみで作物栽培を行うことを可能とする中国固有の園芸施設である。本報は、日光温室の熱環境を予測するため、まず非植栽時の熱および水分収支式を用いた基本的な熱環境予測モデルを開発し、北京市の日光温室で実施した環境計測実験の結果を用いてモデルの検証を行った。その結果、温室内部の気温や相対湿度、そして北壁を除く各室内表面温度の計算値は全体的に実測値をよく再現した。一方で、日中の昇温防止のためのフィルム面一部開放により自然換気量が変動し、このため日中の計算値と実測値には差異が生じた。そこで換気回数を数段階に可変設定してシミュレーションを行ったところ、適正な換気回数が与えられた場合、今回開発したモデルはより正確な予測を行うことが可能であることが示された。キーワード:日光温室、熱環境、シミュレーション、熱・物質収支、モデル検証