農業施設34巻3号
2003.12, 221〜230
論文:

草地型酪農地帯の一農協加入農家群の経済性・エネルギー利用・余剰窒素による多面的評価

河上博美・干場信司・森田茂・野田哲治・池口厚男

要 旨

 これまでの酪農生産システムの評価は経営的収益性を用いた評価方法が主流であり、経済効率は確かに向上した.しかし、その一方で高エネルギー投下や環境問題、食料自給率の低下等の問題を引き起こしている。
 本研究では北海道東部に位置するA町の酪農家197戸を対象として、経済性だけではなく、投入化石エネルギー量および余剰窒素の3指標を用いた酪農生産システムの多面的評価を試みた。
 多面的評価指標を用いた評価結果として、生産乳量1kgあたりの投入化石エネルギー量は、6.0[MJ/kg]、1haあたりの環境への負荷(余剰窒素)は106[kg-N/ha]と求めることが可能となった。
 また、経済性・エネルギー・余剰窒素の3指標から評価することにより、全体の傾向としては経済性とエネルギーの間および経済性と余剰窒素量の間には、それぞれ正の相関があるものの、個別の農家については、経済性による評価が、必ずしもエネルギーや余剰窒素量による評価と一致しないことが明らかとなった.このことにより、経済性のみの評価の欠点を補うという視点から多面的に評価することの必要性が明らかとなった。

キーワード:酪農生産システム、多面的評価、評価指標、経済性、投入化石エネルギー、余剰窒素


農業施設学会