農業施設35巻4号
2005.3, 197〜204
論文:

家畜ふん堆肥からのフィチン酸分解菌の分離と利用

郝桂玲・西尾道徳・前川孝昭

要 旨

 フィチン酸Naをリン源として加えた培地を用いて、家畜ふん堆肥からフィチン酸Na分解菌の分離を試みるとともに、分離した分解菌を豚ぷん堆肥に接種して、堆肥中のフィチン態リンの分解促進を試み、次の結果を得た。
1)未熟な牛ふん堆肥からフィチン酸Naを分解する多数の糸状菌、細菌及び放線菌が得られ、その中で糸状菌は高い分解能を持つものが多かった。
2)フィチン酸Na分解能の高い菌株を用いて、フィチン酸Ca、フィチン酸Zn及びフィチン酸Cuの分解能を調べた。その結果、糸状菌、細菌及び放線菌のいずれのフィチン酸Na分解菌株もフィチン酸Caを分解できた。しかし、フィチン酸Zn及びフィチン酸Cuを分解できたのは糸状菌株だけであった。
3)分離した糸状菌のうち、フィチン酸Zn及びフィチン酸Cuの分解能の高い菌株を豚ぷん堆肥に接種して、25℃で90日間培養した。その結果、無接種の対照区に比べて、無機リンの増加率は17%、フィチン態リンの減少率は21%と高かったことが認められた。

キーワード: 糸状菌、微生物、フィターゼ、フィチン態リン、家畜ふん堆肥


農業施設学会