発表要旨(1997年度大会)

  • A-1
  • 貯蔵米の品質評価における炊飯特性項目の考察
  • 三輪精博・後藤清和(岐阜大)・張萃明(中国四川工業学院)

 米粒は、貯蔵中に古米化や黴による変質が起きる。炊飯特性で貯蔵米の品質を評価する方法は、少量の試料によって各種測定値が得られるので広く用いられている。しかし、従来の炊飯特性項目では測定値にあまり差が認められず、そのまま品質の評価に利用できないことがある。そこで、炊飯液の上澄み液とそのヨード呈色液の光通過率差等により品質を評価する方法を考察した。

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  • A-2
  • 穀物の変質検知に関する研究(1)-二酸化炭素濃度の変化による結露籾の検知-
  • 後藤清和・三輪精博・森元洋(岐阜大)

 穀物乾燥貯蔵施設において、貯蔵穀物が発酵等により変質する事故が増加している。変質の原因の1つである結露を、二酸化炭素濃度の変化により検知することを検討した。結露籾量の乾籾量に対する割合や貯蔵温度を種々変化させ、乾粉層の上下の空間層で二酸化炭素濃度の測定を行った。測定の結果より、二酸化炭素濃度の経時的測定は、結露発生の検知に有効であると判断された。

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  • A-3
  • 飯米の品質評価のためのテクスチャ計測法
  • 清水直人・木村俊範(筑波大)

 多様な米が生産され、消費されているが、食素材としての米の品質は飯米で評価されるべきであり、その物理化学的性質の重要性は高い。本研究では、それら品質項目中でも取り分けテクスチャに着目し、その計測、評価を安定かつ再現性の良いものへと改善することを試みた。その実現には、計測に至るまでの炊飯、あるいは保持条件が大きく影響するため、条件の標準化が必要なことを再確認した。

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  • A-4
  • 発芽玄米の食品化に関する研究(3)-ベンチスケール発芽玄米製造装置の試作-
  • 鈴木啓太郎・前川孝昭(筑波大)

 外部物理的環境により発芽過程初期の玄米の発根を抑制した発芽玄米を製造するベンチスケールの試験装置を試作した。玄米を浸漬する浸漬部と浸漬水を貯める貯水部を設置し、浸漬水を間欠的に循環させることにより発根を抑制できた。発根抑制は浸漬水中の溶存酸素濃度が関係していると推定される。

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  • A-5
  • 乳酸発酵を用いた米パンケーキの製造技術改善
  • 木村俊範・山田早穂・清水直人・小貫聡史・上野孝(筑波大)

 外国産米の輸入が定着し、その消費が停滞する基調の下で、品種特性を活かした利用法が求められている。本研究では、発酵基質として有利だとされる外国産米の特徴を活かした加工食品としてパンケーキを取り上げ、その加工特性の解明、並びに我が国消費者の嗜好に合致する加工程度、条件の検討を行った結果、インディカやバーボイル米の原料適性が優れていることを確かめた。

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  • A-6
  • ダウンオーガによる堆積籾層の撹拌特性
  • 内田進・藤木徳実(佐賀大)

 ダウンオーガは丸ビンの籾の乾燥の良否を決める重要な要素である。ここではモデル(100×100×30cm)を製作し撹拌中の籾の移動状況および混合撹拌を調べた。その結果、オーガの撹拌範囲は籾層(60cm)で半径150mm、滑り角55°が得られた。オーガを移動させた場合は撹拌部分は表層で30cmのV字型となった。これを実際の丸ビンに通用すると全域を撹拌するには上層部で25時間、下層部で30時間となった。

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  • A-7
  • マイクロ波TDRによる貯蔵穀物層水分分布の異常検出
  • 後藤裕・加藤宏郎(京都大)

 穀物乾燥貯蔵施設では、穀物層内に水分むらの異常が発生した状態のまま貯蔵すると、カビの発生や品質劣化を招き大きな損害を受けることになる。本研究では、サンプル採取をすることなく、常時サイロ内部の穀物層水分分布を把握するため、マイクロ波TDRによる測定方法を追求した。その結果、連続センサ、不連続センサを用いて水分むらの異常を検出できることがわかった。

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  • A-8
  • Radiation Power Distribution in Microwave Drying Chamber
  • 董鉄有・繆冶煉(筑波大)・宮武義邦(静岡精機)・馮伝平・吉崎繁(筑波大)

 Effects of the connection of microwave guide with drying chamber on microwave radiation power density on drying bed were studied theoretically and experimentally. It was shown that the distribution of microwave radiation power density could be explained by the radiation pattern of open-ended microwave guide, and there was an effective heating region on the drying bed.

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  • A-9
  • Insights into the Existing Rice Processing Mills in Bangladesh
  • Islam, M. R., T. Kimura, N. Shimizu(筑波大), S. M. Farouk(バングラデシュ農業大)

 バングラデシュにおける米の収穫以後損失と精米施設の現状認識を基に、その主要加工方法であるパーボイリングと精米技術の持つ技術的問題点や製造コスト等の面から検討し、高品質のパーボイルドライスの低コスト製造法構築のための基礎的事項を整理した。

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  • A-10
  • 人間の畜舎内滞在強度の実態-畜舎建築規制の緩和に向けて(1)-
  • 干場信司・布施和昭・林淳子・森田茂(酪農大)

 牛舎・豚舎・鶏舎および付属施設等を対象として、人間の畜舎内滞在強度[(人·時間)/(50m2·年)]の実態を調査した。その結果、鶏卵選別・包装センターのみが、50m2当たり1人の密度で1日6時間滞在した場合の滞在強度(2190)より大きく、搾乳棟は同密度で1日2時間滞在した場合の滞在強度(730)よりも大きかった。その他の畜舎は、すべて730以下であった。

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  • A-11
  • 畜舎における屋根雪滑落の発生条件について-畜舎建築規制の緩和に向けて(2)-
  • 苫米地司・高倉政寛(北海道工大)・干場信司(酪農大)

 本報告では、畜舎における積雪荷重評価に必要な滑雪現象の発生条件について既往の研究を整理して考察した。滑雪現象の発生には屋根葺材と屋根雪との間に発生する凍着抵抗力が大きく関わる。滑雪現象を考慮した積雪荷重の評価を行う場合は、この抵抗力を低減する指標について十分検討する必要があることを明らかにした。

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  • A-12
  • 屋根雪滑落の発生に及ばす外気温度特性について-畜舎建築規制の緩和に向けて(3)-
  • 高倉政寛・苫米地司(北海道工大)・干場信司(酪農大)

 外気温の推移状況から滑雪現象を捉え、その推移状況を統計学的に整理して温度条件を積雪荷重評価に取り入れるための検討を行った。その結果、外気温の推移状況と畜舎内の温度環境との関係を十分に把握することで滑雪現象を考慮した合理的な積雪荷重評価が可能であることが明らかとなった。

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  • A-13
  • 畜舎用木質加工の水平加力実験-畜舎建築規制の緩和に向けて(4)-
  • 小川秀雄(神奈川大)・安村基(静岡大)・岡部実(べターリビング)

 方杖付き架構の安全性の確認、及び外壁パネルの許容水平耐力を求めるための水平加力実験を行った。結果は、方杖付き架構の耐力は、方杖の付く柱部分に節等の欠陥が無い場合には設計耐力に対して最大耐力は約2倍程度あることが、また、畜舎で使用される断熱仕様の壁パネルにある程度の水平耐力が見込めることが確認された。

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  • A-14
  • フリーストール牛舎の床面乾燥法
  • 池口厚男・本田善文(畜試)・加茂幹男(草地試)

 フリーストール牛舎では含水率の高いふん尿が通路に貯留しているため、牛の滑り事故、肢蹄病や乳房炎等の発生、ふん尿処理作業の負担増等の問題が生じている。そこで懸垂型送風機による牛舎床面の乾燥効果の実証を行い、送風機を床面に対して45°に設置すると、設置しない場合の約1.8倍、90°に設置した場合の約1.4倍の乾燥効果があった。また、地域別(帯広、宇都宮、鹿児島)の水分除去量と牛通路床面気流速、面積の関係を推察するためシミュレーションを行った。

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  • A-15
  • 堆肥舎におけるコンクリート壁構造物の耐久性の実態
  • 森山英樹・豊田裕道(農工研)・小川秀雄(神奈川大)・道宗直昭(生研機構)

 堆肥舎のコンクリート壁構造物は、通常の建築基準に準じて設計・建築されてきた。今回はコンクリートの鉄筋かぶり厚さに関して、腐食物質である堆肥との接触によるコンクリートの老朽化の影響を既存の堆肥合で調査した。調査した範囲ではかぶり厚さについては問題は無いものの、鉄筋の腐食を促進する高濃度の化学成分が見つかり、クラック対策が必要であることが分かった。

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  • A-16
  • 放射伝熱に関する体重27kg豚の形態係数
  • 蓑輪雅好(香川大)

 暑熱期においては体熱放散促進のために、周囲環境から豚体に入射する放射熱量を可能な限り抑制することが望まれる。本研究では豚体に入射する放射熱量を算定することを目的として、27kg豚のサーフィスモデル(6598個の三角形パッチで構成した3次元グラフィックスモデル)を用いて側面壁、正面壁、背面壁、天井面、床面に対する豚体の形態係数を豚体形状に基づいて数理解析的に求め、壁面に対する豚体の形態係数算定図を提示した。

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  • A-17
  • 農村景観の評価に関する研究
  • 瀬能誠之(筑波大)・荒井伸之(茨城県)

 優れた景観を保全し、よりよい景観を形成するために、景観の評価基準を得ることを目的に、景観の計量心理学的評価と景観構成要素について分析を行った。農業に関する景観は、それ自体が景観の質を乱すのではなくて、その状態を「視覚的」に見て、秩序がなかったり荒れていると感じた場合、その景観を好ましいものと感じないこと、農業以外の景観については、その存在そのものに好意的感覚を抱かないことが明らかとなった。

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  • A-18
  • 排水路模型による生活廃水の硝化・脱窒プロセスの評価
  • 藤田和男・楊継富(科学技術振興事業団)・張振亜・前川孝昭(筑波大)・中川力夫(茨城県)

 全長50mの排水路模型を用い、排水路での廃水の自浄作用の評価を試みた。平均滞留時間2日のときNH3-N除去率(初期濃度20mg/L)は20%であった。微生物固定化担体を添加した時NH3-N除去率は10%であり、硝化作用が促進された。脱窒が進行しなかった為T-Nは除去されなかった。TOC(初期濃度80mg/L)の除去率は80%であった。

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  • A-19
  • 農業施設の評価方法に関する研究(10)-酪農経営方針の変更に伴うエネルギー利用の変化-
  • 河上博美・干場信司・森田茂(酪農大)・石沢元勝(酪農業)・池口厚男(畜試)

 経営収支と化石エネルギー投入量という2つの指標を用いて、11年間にわたる経営データを持つ酪農家を対象とし、自給飼料依存型から購入飼料依存型への経営方針の転換による2つの指標の変化を複合的に評価した。その結果、双方の指標とも約半分の減少がみられた。減少に関わる大部分が購入飼料によるものであった。

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  • A-20
  • 農業施設の評価法に関する研究(11)-北海道十勝の一酪農場に関する経済性・エネルギー・環境負荷による複合的評価-
  • 猫本健司(ズコーシヤ)・干場信司・上田和夫・森田茂(酪農大)・池口厚男(畜試)

 前報(10)における2指標(経営収支、化石エネルギー投入量)に環境負荷を加え、3指標による複合的な評価を試みた。評価指標としては、「投入エネ所得比」、「窒素負荷所得比」、「窒素負荷投エネ(糞尿処理)比」などを用いた。

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  • A-21
  • 寒冷地用堆肥化施設の開発-強制結露による除湿-
  • 向弘之(北農試)・佐藤義和(技会事務局)・福本昌人(北農試)・干場信司(酪農大)

 堆肥化施設を断熱して、発酵熱の施設外への放出を抑えることで施設内の気温を確保し、併せて堆肥から発生する水分を、寒冷外気を利用して施設内で強制的に結露させ、凝結潜熱を有効利用しながら除湿する仕組みを備えた寒冷地用堆肥化施設の開発に着手した。本報では、堆肥から発生する熱と水を温風ヒータと加温水槽で代替して行った実験での熱収支・水収支について報告した。

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  • A-22
  • 中温メタン菌の担体への付着法の確立
  • 新屋文隆・前川孝昭(筑波大)

 栄養塩類を天然高分子で包括固定した後、合成高分子を用いた2重の固定を実施した。35℃で馴養した酢酸を基質とするメタン発酵では、桿菌のMethanothrixや小荷物状菌のMethanosaricinaが優占種であることが走査型電子顕微鏡、原子間力顕微鏡により判明した。

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  • A-23
  • 貯留式メタン発酵における温度依存性(1)-回分試験による発酵特性の比較-
  • 木村義彰・梅津一孝・高畑英彦(帯畜大)

 本実験は、高負荷連続式発酵槽より排出された脱離液および乳牛生糞尿を原料とした回分発酵試験を行い、中温から低温域のメタン収率の温度依存性を一般成長モデルを用いて明らかにした。供試モデルは脱離液の発酵温度5℃以外すべてに適応し、予測モデルとして有効であった。メタン収率は発酵温度20℃を境に低温域で著しく減少することが明らかとなった。

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  • A-24
  • 貯留式メタン発酵における温度依存性(2)-乳牛生糞尿を対象とする発酵特性の比較-
  • 木村義彰・梅洋一孝・高畑英彦(帯畜大)

 本実験は乳牛生糞尿を原料とした累積投入による貯留式メタン発酵実験を行い、その温度依存性を明らかにした。10℃以下の発酵温度では揮発性有機酸の蓄積が認められたが、42.5℃から15℃での発酵阻害は認められなかった。乳牛糞尿を原料とした貯留式メタン発酵は高い有機物分解率を示し、発酵温度15℃以上で可燃性バイオガスが回収できることが明らかとなった。

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  • A-25
  • 貯留式メタン発酵における温度依存性(3)-メタン発酵脱離液を対象とする発酵特性の比較-
  • 木村義彰・梅津一孝・高畑英彦(帯畜大)

 本実験は高負荷連続式発酵槽から排出される消化脱離液の累積投入による貯留式メタン発酵試験を行い、その温度依存性を明らかにした。高負荷連続式発酵槽と消化脱離液の貯留式発酵槽を組み合わせた嫌気発酵処理システムは、メタン回収量および有機物の分解率が高く、さらに温室効果ガスの大気中への放散を抑える利点があることが明らかとなった。

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  • A-26
  • 畜舎の臭気に関する研究(7)-豚糞の含水率により変化するアンモニアの揮発率-
  • 福重直輝・川西啓文・長島守正・都甲洙・奥村隆志(日本大)

 本研究は豚糞のアンモニア成分発生量を推定するため、豚糞の含水率により変化するアンモニアの揮発率CAの定量を行った。その結果、糞の含水率、経過時間、気温とCAの間には次の関係があった。①含水率(X)とCAはCA=1.18×10-4X+1.73×10-3、②経過時間(θ)とCA(20℃、24時間)はCA=0.0107e-0.015θ、③気温(X)とCA間はCA=1.7×10-4X+1.25×10-2の関係が得られた。

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  • A-27
  • 近赤外分光法による牛乳成分のオンライン計測に関する基礎研究-近赤外透過法による脂質・タンパク質乳糖の測定-
  • 陳介余・伊豫知枝・河野澄夫(食総研)・Keshab K. Batajoo・甘利雅拡・寺田文典・阿部亮(畜試)

 牛乳のオンライン計測技術を確立するため、近赤外透過法による牛乳の主要成分の測定を試みた。短波長領域の近赤外光、および光路長の長い試料セルを用いることにより、ホモジナイズすることなく牛乳の主要成分を高精度に求められることが明らかとなった。

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  • A-28
  • 群管理における個体管理技術の開発(2)
  • 加茂幹男(草地試)・池口厚男・本田善文(畜試)

 フリーストール方式における一群管理を前提に、共通採食エリアと試作した個体識別装置を組み込んだ個体別採食エリアを組み合わせた給餌システムの可能性について検討した。その結果、個体別採食エリアの栄養水準を共通採食エリアより高く設定する事により、個体別採食エリアを優先的に利用させる動機を牛に与えることが可能であったが、社会的順位の影響が顕著に認められた。

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  • B-1
  • プラスチック製通いコンテナの回収と強度の経年変化
  • 秋永孝義・川崎聖司・國府田佳弘(琉球大)

 沖縄県では県内産の青果物の流通の円滑化を図るために通いコンテナが導入されている。包装コストや労力の削減、品質保持などに効果を発揮しているが、破損や目的外使用などによる空コンテナの回収率の低下の問題から事業の存亡が議論されている。そこで、目的外使用の実態、回収の問題点を調査するとともに、コンテナの強度の経年変化を落下試験と圧縮試験で検討した。その結果、強度の低下は実用上問題がないものと判断した。

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  • B-2
  • 人工ゼオライトのかんきつ貯蔵庫壁材への利用-ウンシュウミカン貯蔵での基礎研究-
  • 棚橋保仁・Dorji SANGAY・鶴崎孝(愛媛大)

 水分及びガスの吸着保持機能を有するゼオライトを混入したコンクリート板を貯蔵容器の内側に張り、ウンシュウミカンの貯蔵実験(150hr・繰り返し)を行った。温度、湿度、CO2濃度、果実の重量、果皮色などを測定した。本容器は、器内が過度の高湿になることを緩和すると共に、CO2を吸着すると考えられる結果を得た。対照のコンクリート、ポリスチレンホーム材にはない特性があると思われた。繊維板などへも混入を試行したい。

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  • B-3
  • 大型強制通風式予冷庫におけるキャベツの冷却
  • 中島教博・伊庭慶昭(宇都宮大)

 近年、キャベツの大型産地では省力のため大型強制通風予冷施設を建設し、集荷したキャベツを翌朝までに12~14時間予冷した後、出荷している。そこで著者らは、その冷却状況を調査した。キャベツは最も冷却されにくい中心でもほとんどの場所で10℃近くまで冷却され、温度むらも2~4℃であった。測定結果から、冷風の吹出口に注意し、パレット間にスペースを十分とればキャベツの予冷にはこの方法で十分効果があることが分かった。

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  • B-4
  • キャベツの強制通風冷却に及ぼす包装と積載の影響-IQCによる急速予冷の提案-
  • 椎名武夫・山内宏昭・増田欣也・豊田政一(北農試)

 キャベツについて、強制通風予冷による冷却の実態把握と予冷の適正条件の解明のため、無包装、段ボール箱包装、段ボール箱積載の各条件でフーリエの法則に基づく冷却過程の解析を行った。また、機械収穫と共選に対応した包装前の個体急速冷却(Individual Quick Cooling、IQC)による新しい予冷システム、および庫内温度の最適化による予冷の高速化について検討した。

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  • B-5
  • 農産物貯蔵庫の環境分布特性の解析(2)-汎用3次元流体解析システムα-FLOWによる庫内気流速の予測-
  • 椎名武夫・山内宏昭(北農試)・佐瀬勘紀・奥島里美(農工研)・久保田涼子・小野澤徳夫(富士総研)

 8L×6D×5H(m)の試験用貯蔵庫について、庫内気流の数値シミュレーションを行った。解析は、デカルト座標系およびBFCで、k-ε乱流モデルを用いて行った。シミュレーション結果と、実測および類似施設のシミュレーション結果との比較を行った。

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  • B-6
  • 雪室による切花の貯蔵
  • 高阪いつ子・東城清秀・渡辺兼五・荻原薫(東京農工大)

 北陸地方の多降雪地帯では昔から雪室と呼ばれる小規模の貯蔵施設が利用されてきた。今回は最近試みられ始めた雪室による切り花の短期貯蔵について検討した。実験にはバラを供試し、貯蔵試験区として雪室(約0℃)、雪室までの連絡通路(約10℃)、雪室に隣接する居室(約20℃)の3ヶ所を使用して、5日間の湿式貯蔵を行った。呼吸量は通路区では対照区の1/4、雪室区では1/8であった。雪室貯蔵後の花色は貯蔵しないものに比べてやや赤色の発色が遅れる傾向が観察された。

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  • B-7
  • 野菜の自然保蔵方法の解析と合理化(1)-白菜の自然保蔵時における環境状況と品質変化-
  • 辻本壽之・小中俊雄・木村俊範・前川孝昭・山口智治(筑波大)・櫻井文海(国際協力事業団)

 発展途上団における野菜の貯蔵を合理化するために、高地等における冷涼な自然環境を活用する簡単な貯蔵方法の可能性について検討した。圃場での白菜貯蔵実験を行い、材料温度の推移や品質指標変化を測定した結果から、藁等による簡易被覆が保蔵期間の延長に効果的であることを確認できた。

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  • B-8
  • ナスの品質評価と最適包装貯蔵に関する研究
  • 志賀徹(宇都宮大)・鈴木真理(荒井食品)・齋藤高弘(宇都宮大)

 ナスの収穫後の鮮度保持技術の確立を目指し、温度や外的ガス環境条件の変化による呼吸速度を測定し、貯蔵温度や貯蔵ガス組成及び包装条件等がナスの鮮度劣化に及ぼす影響を検討した。ナスは温度の上昇とともに呼吸量が増加したが、過度なCA条件に対しては外観及び内部の品質劣化が大きく、高CO2、低O2には適応性が低く、温度と湿度が品質に影響する主要な因子であった。

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  • B-9
  • 温度変動に対する果菜形状の微小変化応答-キュウリ・ナス・ミニトマトを用いた予備実験-
  • 小綿寿志(食総研)

 貯蔵温度に振幅と周期の異なる変動を与えたとき、減量率および直径減少量に及ぼす影響は3種の果菜で一様ではなかった。直径減少量のパワースペクトルは定温区に比べ温度変動区の方が大きかったが、スペクトルが乱れる環境区があった。野菜の品目により形状変化の応答特性が異なることから、品質劣化ヘの影響が小さい温度変動パターンが存在する可能性があることが示唆された。

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  • B-10
  • タマネギの表皮水分の非破壊迅速測定法について
  • 内田進・藤木徳実(佐賀大)

 良質のタマネギを供給するには、収穫後のタマネギの乾燥が重要な要因となる。ここでは、市販の可搬型近赤外水分計と色彩色差計を用いて、タマネギの表皮水分を測定する方法について検討した。その結果、水分計および、色差計のみでは推定精度が勧めて低く、両者の重回帰式で示すと相関係数が0.76まで高められた。さらに精度をあげるために水分計の赤外線吸収率に影響するタマネギの曲率半径を考慮した式を提案した。

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  • B-11
  • 青果物呼吸モデルの構築と包装内ガス組成解析への適合性
  • 疋田慶夫・安部武美・T. M. Afzal(愛媛大)

 前報(平成8年度農業施設学会講演要旨、60-61)に継続した研究結果として、温度と呼吸環境の酸素濃度を変数とする呼吸モデルが提案され、モデルを包装内ガス組成の解析へ適用した結果が述べられた。酸素濃度と青果物の酸素吸収速度の関係には比例関係が得られ、呼吸速度定数が導入された。呼吸速度定数と温度の関係はArrheniusの式に従った。これらの結果に基づき、伊予柑、ネーブル、イチゴ、キュウリの呼吸モデルが示された。イチゴを包装保存したときの、小袋内ガス組成の実測値と推定結果が示された。

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  • B-12
  • 環境ガス組成が野菜類のガス代謝に及ばす影響の解明(2)-流気方式による代謝測定における測定精度に関する考察-
  • 椎名武夫・山内宏昭(北農試)

 開発した流気式の代謝解析装置について、測定精度に影響を及ぼす、①ガス分析精度、②通気ガスの濃度変化、③入気と排気のガス濃度差の大小、④通気流量の測定精度などの要因、および、測定精度の向上のための方策について検討した。その結果、酸素濃度を制御した条件下で、青果物の酸素吸収速度の測定が可能となった。

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  • B-13
  • 環境ガス組成が野菜類のガス代謝に及ばす影響の解明(3)-酸素濃度に対する青果物の代謝応答の温度依存性-
  • 椎名武夫・山内宏昭(北農試)・Ratiporn Haruenkit(モンク王工科大)

 メキャベツ、スィートコーン、アスパラガスの3種類の野菜について、酸素濃度と温度が酸素吸収と二酸化炭素排出に及ぼす影響を解析した。酸素濃度の低下に伴って呼吸速度比が低下した。5~15℃では、温度が高いほど酸素濃度の低下に伴う呼吸速度比の低下が著しい。

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  • B-14
  • Development of an Automatic Peeling Machine for Mango Fruit
  • Junn-Fu Hsieh, Takaaki Maekawa(Univ. of Tsukuba)

 The Irwin variety mango was examined. The maximum peeling efficiency reached to 96%, peeling rate reached to 140kg/h (the conveyor circulating speed was 0.8m/min, knives plate was 160rpm. The peeling speed was six times of hand peeling.

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  • B-15
  • Storage and Marketing of Pulses/Legumes in Kenya
  • 0jijo N. K. O., T. Kimura(筑波大), H. Koaze(ジョモケニヤッタ農工大)

 アフリカの諸国では、食材としての豆類は重要であり、その流通、加工過程における品質保持問題は食料自給をも左右する課題にもなる場合がある。本研究では、ケニアにおける豆類の生産と貯蔵・流通実態を調査し、その問題点を抽出して品質保持にかかわる技術的諸問題解決の方向性を検討した。

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  • B-16
  • 食品の解凍状態の評価-インピーダンス・スペクトロスコピィの魚肉への応用-
  • 北村豊(島根大)・豊田浄彦(神戸大)・田川彰男・内山均(東京農大)

 魚肉の解凍状態の評価にインピーダンス・スペクトロスコピィを適用するため、インピーダンス特性やドリップ・硬度等の物性を測定した。3つの解凍条件(パーシャル、流水、室温)間で、魚肉の物性には有意差が認められた。またオス肉については硬度とドリップの間で負の相関が得られた。一方インピーダンス特性は全て直線的であり、Cole-Cole型の円弧は示されなかった。

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  • B-17
  • 等価流動抵抗を考慮した施設内の気流解析手法
  • 田中晃(日立プラント建設)・田中俊一郎・田中史彦(鹿児島大)

 農産物充填層などの流路障害物を有する子冷、冷蔵施設内の気流分布を予測する手段として、等価流動抵抗を考慮した二次元の等温乱流(標準k-εモデル)解析手法を導入した。本手法の有効性を模型実験装置を用いて検証した結果、流路障害物を考慮した施設内の速度や風向分布の計算値は実験値とよく一致した。

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  • B-18
  • 一輪ギクの品質評価に関する研究(1)-専門家による評価とその評価指標-
  • 近藤直・門田充司・後藤丹十郎(岡山大)

 本研究では、人間の感覚という曖昧な評価基準で行われているキクの品質評価の定量化を目的とし、専門家の評価決定因子について考察した。形態的特徴の異なる一輪ギクを、専門家が評価した結果、人によってその結果に大さな違いが見られた。また、同一人による複数回評価においても差が見られた。専門家の評価指標は、草丈、主茎径、葉及び、花の色、葉と花のバランス、うらごけ、節間長、花首長等であることがわかった。

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  • B-19
  • 一輪ギクの品質評価に関する研究(2)-ニューラルネットワークを用いた評価-
  • 近藤直・門田充司・後藤丹十郎(岡山大)

 前報で計測したキクの特徴量と専門家の評価との関係を求め、比較的相関が高いと判断された葉部面積、草丈、主茎径、花首長および第1葉の全長を評価決定因子としてニューロに入力した。同時に、専門家の評価結果を教師データとしてカルマンフィルタを用いて学習させ、評価を行った。その結果、ニューロの評価結果は専門家の評価によく追従し、人間の曖昧な評価を定量化できることが明らかになった。

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  • B-20
  • カーネーションの強制開花に関する研究(2)-光環境が開花速度および品質に及ぽす影響-
  • 水口聡・渡辺久・川崎哲郎(愛媛農試)

 処理中の光環境だけを変えて強制開花させたカーネーションにおいて、満開時の花のサイズおよび花弁や葉の色調に顕著な差異はなかったが、花持ち日数に興味深い傾向が認められた。すなわち、24時間連続で光照射するより明期と暗期を設ける方が花持ち日数が長くなり、さらに、一周期当たりの明期と暗期の時間が長いほど花持ち日数が長くなることが明らかとなった。

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  • B-21
  • ヤシ殻活性炭がシクラメンの生育に及ばす影響
  • 武永順次(東京農工大)

 シクラメンの育苗時にヤシ殻活性炭を処理した以降の生育推移について検討した。ヤシ殻活性炭を処理してシクラメン苗を育成すると無処理に比べて葉数と花蕾数並びに開花数が増加する傾向が見られた。総生体重もヤシ殻活性炭の処理が無処理に比べて増し、また総葉面積も大きい傾向を示した。以上、ヤシ殻活性炭はシクラメンの生育を促進する作用が認められた。

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  • B-22
  • 散水量削減のための散水冷房温室の最適制御
  • 小林有一(東京農工大)・志賀徹・斎藤高弘・藤重宣昭(宇都宮大)

 地下水を低温水源として利用する顕熱利用型の冷房システムは、大量の地下水を必要とすることが普及の妨げとなる。散水量を削減する目的で、内気温を夜冷育苗処理に最適な温度に制御した。内気温の制御方法としてon/off制御と、散水量を負荷に合わせて調節する適応制御を行った。両制御とも目標温度の19℃に対し、内気温が精度良く制御され、夜間には散水量が削減出来た。

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  • B-23
  • ハウス内土壊水分の制御システムの開発研究(1)-土壌水分の変動予測-
  • 川上卓男・中野和弘・大塚雍雄(新潟大)・本間利光(新潟農総研)・大田達之(インテリジェントシステムズ)

 ハウス内において土壌水分の目安とされるpF値と日射量、気温、湿度から求めた重回帰式を用いて、pF値の経時変化の予測モデルを検討した。その結果、pF値の予測値と実測値はほぼ一致して変動することが示された。

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  • B-24
  • 水耕培養液中の病原菌制御のための膜ろ過装置の開発
  • 金子明子(筑波大)・大谷敏郎(食総研)・福田直也(筑波大)・佐瀬勘紹(農工研)・高柳謙治(筑波大)

 トマトの湛液水耕栽培における培養液中の病原菌(トマト青枯病菌)を除去するため、精密ろ過膜を使用した培養液ろ過法について実験を行った。その結果、除菌能力と目詰まり防止を考慮すると、孔径0.3μm程度の膜が適当であった。また、栽培実験では、除菌処理をしない区よりも菌の増殖を低く抑え、発病が遅延された。

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  • B-25
  • 移動式トマト栽培システムに関する研究(1)-生産システムの試作-
  • 池田英男(大阪府大)・増山伸光・岩本恒男(誠和)

 省力化、軽作業化、作業環境の快適化、高生産性等を目的として、家庭電気製品などの生産工場で見られるような生産ラインを想定したトマトの移動栽培システムを試作し、基本的技術を完成した。

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  • B-26
  • フェンロー型温室の風洞実験による風力換気時の気流の可視化
  • 奥島里美・佐瀬勘紀(農工研)・池口厚男(畜試)・前川孝昭(筑波大)・五十部誠一郎・邱国玉(農工研)

 フェンロー型温室について軒高や換気窓の開閉と換気特性の関係を明らかにする、風洞模型による風力換気時の可視化実験を行った。その結果、温室外部および屋根部を除く内部については循環流や逆流、剥離流等の定性的な気流性状を把握することができた。

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  • B-27
  • 園芸用プラスチックハウスの風害発生の現況とその特徴
  • 豊田裕道・森山英樹(農工研)・瀬能誠之・前川孝昭(筑波大)

 ハウス全体の挙動を考慮した構造設計法を検討するため、台風によるハウスの被災状況について、沖縄と千葉県での調査を行った。この結果、平坦地ではハウス骨組み倒壊やパイプ基礎部の浮き上がりが見られ、斜面部のハウスでは上方向からの力によると考えられる屋根面の変形、基礎部の沈下がみられるなど、立地配置による被害状況の違いが明らかになった。

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  • B-28
  • 農林漁業体験民宿に関する調査研究
  • 瀬能誠之(筑波大)・大川暢一郎(福岡県)

 わが国のグリーン・ツーリズム展開の基盤条件である農林漁業体験民宿について調査研究を行った。民宿経営、利用形態など17項目に関する分析を行い、①農家民宿の問題点、②農林漁業体験民宿の経営上の問題点、③地域的取り組みの課題、について言及した。今後の大きな課題として、農山村地域の協力態勢づくりと農林漁業体験民宿の整備とその経営の安定化が重要であると指摘した。

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